
解決したい - 離婚や人間関係のよくある問題 2024.10.22
離婚後は共有名義の不動産は単独名義に変更はすべき?変更する際の注意点とは
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共有名義で不動産を所有しており離婚した場合、名義変更は行うべきでしょうか。そのままにしておくリスクは実際のところあるのでしょうか。
なお名義変更する際は、住宅ローンが完済されているかどうかによって対処法が異なりますので、適切な方法を把握しておかないと大きなトラブルに繋がる恐れがあります。
この記事では、離婚後の共有不動産に関する名義変更について、基本情報から把握しておくべき詳細情報をわかりやすく紹介します。
この記事の目次
離婚をする場合共有名義不動産は名義変更すべき?
離婚をする場合、共有名義の不動産はどちらか一方の名義に変更すべきです。これから詳細をお伝えします。
単独名義に変更しないリスクとは
単独名義に変更しないリスクとして、主に下記が挙げられます。
- 自由に売却できない
- 第三者と共有関係になる場合がある
- 相続の際に子供に迷惑がかかる恐れがある
代表的なものとしては、自由に売却等の不動産の管理が行えない点があります。共有名義不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要である決まりがあるためです。
また共有者が自身の持分だけを売却すれば、知らない第三者と共有状態になることも考えられます。そして共有物分割請求などが実施されれば、半強制的に不動産全体を売却する必要などが出てくる恐れがあります。
他にも相続の際に共有名義のままであると、自身の子供や親にトラブルが発生しやすい不動産を相続させることになるので、結果的に迷惑をかける可能性があるでしょう。
上記はあくまで共有名義不動産に潜むトラブルの一例ではありますが、離婚後に共有名義の状態を放置することで様々なリスクがあることは事実です。
離婚後の単独名義への変更に関する前提情報
離婚後に不動産の単独名義への変更を行う際は、まず財産分与を実施する必要があります。
財産分与とは、簡単にまとめると夫婦で築き上げた資産を公平に分配する制度です。法務省は下記のように定義しています。
Q1 財産分与とはどのような制度ですか
(A)
離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。
財産分与は,(1)夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配,(2)離婚後の生活保障,(3)離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質があると解されており,特に(1)が基本であると考えられています。
まずは財産分与を行い、その上で名義変更の話に移ります。
離婚後の共有名義不動産の単独名義への変更方法
離婚後の共有名義不動産の単独名義への変更方法については、住宅ローンを完済しているかどうかで対応が異なります。
住宅ローンを完済している場合と、していない場合に分けて説明します。
住宅ローンを完済している場合
住宅ローンを完済している場合、あくまで夫婦間の話になりますので内容は難しくありません。
よくある例は、財産分与の際に、持ち家に住み続けたい側が不動産分の財産を取得して、持ち家から出て行く側が不動産以外の財産を取得することです。
もちろん、分配される財産が均等になるよう調整をする必要はありますが、どちらかが不動産を取得し、持分移転登記を行うことで単独名義へと変更する形です。
分配される財産が公平にならない場合は、特有財産で埋め合わせを行う場合もあります。このあたりは2人で協議を行い、納得できる形で結論を出すことが必要です。
なお持分に関する所有権移転登記は、2人揃った状態で行う必要があります。相手と連絡が取れない、協力してくれないといった事態を避けられるよう、話し合いと準備は慎重に行いましょう。
住宅ローンを完済していない場合
住宅ローンを完済していない場合は、そもそも「住宅ローンの名義変更」を考える必要があります。
ただし住宅ローンの名義変更は夫婦間で協議を行って、変更できるものではありません。というのも、債権者である金融機関にも了承を得る必要があるためです。
なお住宅ローンの名義変更を行うために、下記の方法を検討することをおすすめします。
住宅ローンの借入
夫婦どちらかが住宅ローンを単独で支払うこととなった場合、住宅ローンの借入が選択肢として挙げられます。
住宅ローンの借入とはつまり、共有名義で支払っていたローンを、単独名義である別のローンに変更することです。
住宅ローンの借入が可能であれば、新たな単独名義でローンで共有名義のローンを完済し、共有名義は解消されることとなります。
しかし夫婦で共有名義にしていた背景に、1人の収入では希望通りの住宅ローンが組めなかった方もいるでしょう。その背景がある場合は、住宅ローンの名義変更を認めてもらえない可能性はありますので、必ず実施できる方法ではありません。
連帯債務者を他の人に変更
連帯債務者を他の人にすることで変更することで、夫婦間の共有関係を解消することが可能となります。
しかしこの方法には、以下2点のハードルがあります。
- 連帯債務者となる人を見つける
- 金融機関にその変更を認めてもらう
仮に連帯債務者となってくれる人を見つけられても、金融機関が認めてくれない場合は変更は不可となります。
とはいえ金融機関が認めた場合は、どちらかが連帯債務から外れ、共有関係の解消が実現できます。
離婚により不動産を単独名義へ変更する際の実際の流れ
ここからは、離婚により単独名義へ変更する際の実際の流れを下記を基に紹介します。
財産分与の協議
まずは財産分与の協議を行います。
冒頭でもお伝えしましたが、財産分与とは夫婦で築き上げた財産を均等に分配する制度です。なお財産に該当するものは、共有名義の不動産や預貯金、そしてローン残債などマイナスの資産も含みます。
上記を合計したものを基に誰がどの財産を受け取るか協議を行い、協議しても話がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停もしくは審判を申し立てる方法もあります。
調停もしくは審判によって決まった内容には法的効力が発生するため、その結果に沿って財産分与をする必要があります。そのためどうしても話の決着が付かない場合は家庭裁判所に判断を委ねることも1つの方法です。
持分移転登記の申請
財産分与により持分移転が決まれば、その内容を申請する必要があります。
申請には登記原因証明情報や固定資産評価証明書など複数の書類を用意する必要がありますが、専門的な知識が必要であるため司法書士に依頼することが最適です。
税金の支払い
移転登記などにより、税金も発生します。主に離婚により単独名義への変更で発生する税金は、下記の3つです。
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 贈与税
必要な税金を納めて、名義変更は完了となります。
離婚による単独名義へ変更の際にかかる税金
最後に、離婚による名義変更の際にかかる税金の詳細について説明します。
登録免許税
登録免許税とは、不動産に関する登記を行う際に課せられる税金です。
共有持分を解消する際は下記の計算式で求められます。
登録免許税=固定資産税評価額×移動持分割合×2%
譲渡所得税
譲渡所得税とは、譲渡の際に得た利益に対し課税される税金です。
財産分与の際は譲渡した側に課せられる税金で、本来金銭で分配するところを不動産を渡すことで利益が生じたと認識され、課税対象となっております。
なお譲渡所得税については、マイホームであれば最大3,000万円の特別控除があるため、譲渡益(譲渡額-取得額)が3,000万円以下である場合は考える必要はありません。
贈与税
贈与税とは、贈与された側に課せられる税金です。
一般的には年間110万円以上の贈与に対して課税されますが、財産分与においては、分配として妥当な金額であれば課税対象とはなりません。
しかし、財産分与の範疇を超えた贈与が確認されれば、贈与税が課せられます。
まとめ
共有名義で不動産を所有した状態で離婚した際は、基本的に共有名義の解消を検討しましょう。理由は、下記を代表とした複数のリスクがあるためです。
- 自由に売却できない
- 第三者と共有関係になる場合がある
- 相続の際に子供に迷惑がかかる恐れがある
住宅ローンの名義変更は夫婦間の話し合いだけでは変更できません。
そのため住宅ローンが残っている場合は、まずは2人でどのように支払いを行うか話し合い、その内容を基に金融機関に相談することが最適です。
面倒に感じる部分もありますが、後にトラブルにならないようきちんと整理しておきましょう。
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