はじめて - 難処分物件とは? 2024.03.25

共有名義山林とは?売却はできる?知らないとまずい知識も紹介!

知らぬところで共有名義の山林を所有していた、または親が所有しており相続の必要性が出てきた場合はあるでしょう。

ただ共有名義の山林について、そもそもどういった実態なのか、売却は可能なのかといった基本情報はわかりにくい部分もあるかと思います。

この記事では、共有名義山林に関する前提情報から売却関連の話などわかりやすくお伝えします。

共有山林とは

共有山林とは、2人以上の複数人が立木を共有している森林です。

その中でも「林」と「森」で多少意味合いが違う部分もあるので、それぞれ詳細をまとめます。

共有林について

共有林とは、複数の個人で所有する私有林です。

共有の背景には共同購入や相続がありますが、それ以外に歴史的な背景によるものもあります。

「歴史的な背景」とは、1889年にあった町村制施行などにともない入会財産を町や市に渡すことを住民が嫌い、権利者の共同所有として名義変更されたことがあげられます。

共有山について

「入会山(いりあいやま)」と呼ぶこともあり、集落単位で所有する山を意味します。

基本的には共同所有の背景から個人の判断で利用および処分はできず、共有不動産と同じ考え方と認識して問題ないでしょう。

共有名義の山林は売却できる?

売却方法にもよりますが、売却自体は可能です。なお売却方法は以下2つに分類されますので、ケース別で説明します。

  • 山林全体の売却
  • 所有持分のみの売却

山林全体の売却

山林全体の売却は、共有者全員の同意が必要となります。

そのため自身が売却を望んでも他の共有者が1人でも賛同しなければ、売却は行えません。

この考え方は共有名義不動産全体で同じです。なお共有山林は、集落単位で共有している場合もあるかと思われます。そういった場合は、全員の同意を得ることは容易ではないでしょう。

所有持分のみの売却

自身の持分のみの売却なら、共有者の同意は必要ありません。

ただマンションなどの居住用不動産とは違うため、価格が付きにくい、もしくは付かないといった場合も可能性としてはあります。

ちなみに売却の際は査定を行う必要があり、「登記簿謄本」や「固定資産税の通知書」を利用して公募面積、傾斜、接道状況、生息樹木の種類や手入れ状況などをもとに決定されます。

こういった共有名義山林は一般の不動産会社では扱ってくれない傾向があります。そのため共有持分の取り扱いに熟知した業者に依頼を行い、話を進めることをおすすめします。

なお弊社も共有持分の取り扱いに熟知しており、様々な問題解決に取り組んでおります。山林関係は法律に関する問題も多いですが、弊社では法律や税金面に詳しい各業界のプロと連携しているため、まずはぜひお気軽にご相談ください。

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共有名義山林に関するよくある疑問

共有名義の山林に関するよくある疑問を3つ紹介します。

  • 伐採・造林は自身の判断で行える?
  • 山林相続はどういった流れで行う?
  • 共有山林を相続放棄するとどうなる?

伐採・造林は自身の判断で行える?

自身の判断のみでは行えません。

ケースにもよりますが、基本的には共有者全員の同意が必要な行為であり、確認を取る必要があります。

しかし共有林の所有者の一部が不明で、共有者全員の合意が得られない場合もあるでしょう。そういった場合は「共有者不確知森林制度」の活用をおすすめします。

共有林の所有者の一部が不明で共有者全員の合意が得られない場合に、一定の裁定手続き等を経て、伐採や造林ができるようにする制度です。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/sinrin_keikaku/kyouyuurin.html

上記のとおり、共有者の確認が行えない場合は市町村長による公告、都道府県知事の裁定等の手続きを経た上で、その者が所有する立木の持ち分を移転することで伐採や造林を行える制度になります。

共有山林は、所有者が既に亡くなっているケースも多く、共有者の特定自体が困難である場合も多いでしょう。なお「所有者が特定できない」の定義は下記で定められています。

当該共有者(死亡している場合は、その相続人(配偶者又は子に限る))について、自ら取得できる範囲の登記事項証明書等に記載された住所にダイレクトメールを送付し、また、市町村や森林組合への聞き取りを行っても、所有者を特定できない場合又は所有者の所在が不明な場合には、「所有者を確知できない」と認められます。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/sinrin_keikaku/kyouyuurin.html

所有者が確認できない際は、上記の制度も視野に対応を進めてみましょう。

山林相続はどういった流れで行う?

山林の相続の流れは、主に下記のフローとなります。

  • 相続登記
  • 市町村への届出
  • 山林の測量

相続登記

まずは相続登記です。こちらは名義変更を行うために実施します。

市区町村への届出

続いて市区町村への届出が必要です。

「森林の土地の所有者届出制度」により、森林の所有者になった人は行う必要がある届出であり、一般的な不動産相続にはない項目ですので、注意が必要となります。

山林の測量

最後は山林の測量です。

こちらは行う必要がない場合もありますが、たとえば山林の成長の背景から登記情報と実態が違っているケースもあり、相続税を適正なものにするため実施する必要があります。

ただ山林が大きければそれだけ測量も大変な作業となるため、1ヶ月以上かかるかもしれない想定をしておくことも大切です。

共有山林を相続放棄するとどうなる?

相続人全員が相続放棄をすれば、山林は国庫に帰属します。つまり国の所有物となるわけです。

なお「相続放棄」という行為は、相続物すべての放棄となります。つまり山林など特定のものだけを放棄することはできませんので、その点は注意が必要です。

山林以外で相続すべきものがあるなら、相続放棄という選択は避けておきましょう。

まとめ

共有山林も、一般的な共有名義不動産と基本的なルールは変わりません。

ただ居住用不動産ではないため、処分や利用に困る方も多いでしょう。共有者が多数いる場合は、なおさらなはずです。

弊社では共有持分に関する相談を常に承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。各業界のプロと連携して問題解決に取り組んでおります。

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