はじめて - 難処分物件とは? 2024.03.25

共有名義(共有持分)とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説!

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不動産の購入の際、共有名義にすることで借入金額の増額ができるなど何かメリットがありますが、デメリットも多いと聞くこともあるでしょう。

様々な面で法律が絡むためその実態をきちんと理解しにくいため、この記事では共有名義および共有持分に関する情報を整理してお伝えします。

結局、共有名義はどんな人におすすめであり、どの点で注意すべきなのか、わかりやすく簡潔に紹介します。

共有名義・共有持分とは

そもそも共有名義とは、ある不動産を複数人で共有して所有している状態を意味します。

単独名義が1人で所有しているのに対し、共有名義は共有者たちで共有所有している状態です。

そして「共有持分」という言葉もよく登場しますが、こちらは共有者がそれぞれ何割の権利を所有しているかを示すものです。

仮にAさんとBさんが5,000万円の不動産を購入する際、2,500万円ずつ出資したなら1/2ずつの持分を所有するという状態になります。なお、共有持分は、必ず足して1になります。

なお、この共有持分の所有割合を「持分割合」と言い、不動産の管理にあたって重要な割合となってくるのです。

共有者の行為(不動産の管理)

共有者の行為は、以下3つに分類されます。そして行為内容および保有する持分割合によっては、共有者の同意が必要となります。詳しく見てみましょう。

  • 保存行為
  • 管理行為
  • 変更行為

保存行為

保存行為は、共有物の現状を維持する行為です。具体例としては、共有物の修理や不法占拠者に対する返還請求などが当てはまります。

この保存行為の実行においては、共有者の同意は必要なく各自の判断で行って良いものです。

管理行為

管理行為は、目的物の利用・改良行為です。具体例としては、共有物を賃貸物件として利用したり、共有地の地ならしなどが当てはまります。

この管理行為の実行においては、持分割合の過半数の同意が必要です。つまり共有持分を1/2より多く所有している場合は自身の判断のみで実行可能ですが、1/2ちょうど、およびそれ以下の場合はほか共有者の同意が必要となります。

なお、管理行為として共有物を賃貸活用する例をあげましたが、こちらは後に紹介する「変更行為」に当てはまるケースもあります。

賃貸物件として貸し出す場合は共有者がその不動産に住むことができないため、管理行為の範囲を超えているとみなされる場合があるのです。

ですので持分割合が過半数を超えているからといって、自分1人の判断で必ず賃貸活用できるわけではないと認識はしておきましょう。

変更行為

変更行為は、共有物の性質もしくは形状またはその両者を変更する行為です。具体例としては、不動産の売却や山林の伐採、田を畑にする行為なども含まれます。

この変更行為は、共有者全員の同意がないと実行できません。ですので、仮に自身が9割の持分を所有していても、残り1割を所有する方が売却はしないと言えば、売却は実行不可能となります。

この辺りが共有名義においてトラブルが発生しやすいポイントであり、記事後半にて注意点もご紹介していきます。

共有名義で不動産を所有するメリット

ここからは、共有名義で不動産を所有するメリットを紹介します。

  • 借入額の総額が増える
  • 住宅ローン控除を人数分適用できる
  • 売却時の特別控除を人数分適用できる

借入額の総額が増える

1人では組めないローンも、たとえば夫婦2人の共有名義にすることでローンの借入総額が増えます。

結果として、1人では手の届かなかった希望の物件でも購入できるといったメリットがあります。

たとえば1億円の不動産を購入したいと思った際、夫だけだと7,000万円までのローンしか組めない場合もあるでしょう。しかし共働きをしている妻に3,000万のローンを組んでもらうことで結果的に購入が可能となります。

なお、この場合は夫が全体の7割、妻が全体の3割を出資しているため、持分割合は夫が7/10、妻が3/10となります。

住宅ローン控除を人数分適用できる

住宅ローン控除についても、共有名義であれば人数分適用が可能です。

そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して購入した場合に「年末時点での住宅ローンの残高の0.7%」が、最長13年間にわたり納めた所得税や住民税から控除される制度のことです。

1人でローンを組む場合は1人分しか控除されませんが、2人でローンを組めば2人分控除が適用されます。

売却時の特別控除を人数分適用できる

売却時の特別控除とは「居住用財産の3,000万円控除」を意味しており、文字通り売却時に譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。

これも住宅ローン控除と同様に人数分適用できるため、高価な不動産であれば人数分の控除が役に立つでしょう。

ただ、現実的に3,000万円控除を2人分以上活用するケースは少ないと言えるでしょう。というのも譲渡所得は下記の計算で算出されるためです。

譲渡所得=売却額-(取得額+諸費用)

取得額とは、当時の購入金額を意味しています。つまり購入時より高額で売却された場合でしか譲渡所得は発生せず、その上で3,000万円を超えるのは一般的には稀な状態です。

ですので居住用財産の3,000万円控除を適用できるから共有名義にする、という判断は基本的にないと思った方が良いでしょう。

共有名義で不動産を所有するデメリット

ここからは、共有名義で不動産を所有するデメリットを3点紹介します。

  • 不動産を自由に管理できない
  • 共有者の死亡時に相続が発生する
  • 知らない人と共有状態になる可能性がある

不動産を自由に管理できない

冒頭でお話ししたように、共有名義の不動産は賃貸や売却等をする際、共有者の同意が必要となります。

そのため自身が不動産を売却したいと思っても、共有者の誰か1人が反対すれば実行できず、もどかしい状況が続くと言えるでしょう。

なお共有者が夫婦など身近な人であれば良いですが、相続等であまり交流のない親族などが共有者であれば話し合い自体が行いづらく、単独で希望する管理ができない可能性も出てきます。

共有者の死亡時に相続が発生する

先ほど少し話しましたが、共有者が死亡すると相続により新たな共有者が発生します。具体的には共有者の子供や親、兄弟などです。

つまり最初は夫婦2人や親子2人による共有名義であっても、相続等により共有者があらたに発生すると気付かぬ間に複数人の共有者がいる状態となり、共有者を把握するだけでも大変な労力を要する状態となります。

また共有者ごとに不動産の管理についてそれぞれの考えがあるため、トラブルも発生しやすい状況となります。最悪の場合は親族間であっても裁判になる可能性があり、この点は大きなデメリットとして捉えておく方が良いでしょう。

知らない人と共有状態になる可能性がある

共有持分は、自身の分だけであれば同意なしで売却することが可能です。

つまり共有者が第三者に売却すれば知らない人と共有状態になる可能性も十分にあり、そこから不動産の活用を巡ったトラブルが発生するパターンもあります。

つまり共有名義はメリット以上にデメリットの方が多く、安易に共有状態にするのは避けるべきです。その上で、注意点も紹介します。

共有名義・共有持分を保有する際の注意点

共有名義・共有持分を保有する際の注意点3つを紹介します。

  • 持分割合は出資額に比例させる
  • 共有者を極力増やさないことを意識する
  • 可能なら共有状態は避ける・解消する

持分割合は出資額に比例させる

共有名義にする際、共有持分を設定する必要がありますが、こちらは出資額にきちんと比例させましょう。

たとえば4,000万円の家を夫が3,000万円、妻が1,000万円で負担するなら「3/4:1/4」で持分割合を設定する必要があります。

上記を仮に1/2ずつで設定した場合、夫から妻に1/4分(1,000万円)贈与したとみなされ、贈与税が発生する可能性があります。ですので持分割合は、必ず出資額(負担額)に比例させるようにしましょう。

共有者を極力増やさないことを意識する

デメリットの部分でも書きましたが、共有者が多いほど不動産の扱いに関する意見がまとまらずトラブルが発生しやすくなります。

そのため、たとえば親子で共有名義にしているなら生前贈与を活用して持分を徐々に子供に移したり、遺書で持分の相続先を明記しておくなどできる対策はしておくべきです。

可能なら共有状態は避ける・解消する

そもそも、共有名義にするか迷っている状態であるなら避けることをおすすめします。

弊社は共有持分の取り扱いを熟知しており問題解決に取り組んできましたが、共有状態はそもそも避けておくことがベストだと言えます。やはり、トラブルの温床になりやすいためです。

とはいえ、すでに共有状態である方もいるでしょう。その方には共有状態の解消をおすすめします。後にトラブルに巻き込まれるリスクを抱えておくよりも、早めに解消を決断するのも1つの手段です。

共有名義の変更と解消方法

ではここから、共有名義の変更方法および解消方法をお伝えします。

共有名義の変更機会について

共有名義を単独名義に変更する機会となるのは、主に下記2つのシチュエーション時となるでしょう。

  • 離婚時
  • 相続時

離婚時

離婚時は、財産分与により夫婦期間で築いた財産を均等に分割します。その際、夫婦同士で合意があれば名義変更をすることが可能です。

ただ共有状態から外れる側は、不動産以外の財産を受け取る権利が出てきますので、どのように分配を行うかは細かく話し合いをする必要があります。

相続時

共有者が亡くなった際は、基本的に法定相続分に従い相続が行われます。しかし遺言書があり、その中に遺産の分配方法などが記載されていれば、基本的にその内容が優先されます。

ただ遺言書がない場合、子供や配偶者に法定相続分のとおりに遺産分割が行われるため不動産の共有者は増えるでしょう。

そのため遺産相続協議を行い、単独名義になるよう不動産の遺産分割について話すことが1つの手です。遺言書の内容に不動産以外もあれば、かたよりのない状態となるので協議がまとまりやすいと言えます。

共有名義の解消方法

離婚・相続時以外に、共有状態を解消することを目的とするなら下記の方法もあります。

  • 不動産全体を売却する
  • 共有者の持分を買い取る
  • 自身の持分のみを売却する

不動産全体を売却する

共有者全員で話し合い、不動産全体を売却する方法です。売却額を持分割合に合わせて分配します。

誰も該当の不動産に居住する予定がないなど、売却しても大きな支障がなければ現金化して解消することが適切な手段でしょう。

共有者の持分を買い取る

特定の共有者が居住している場合だと、ほかの共有者の持分を買い取り、解消することも1つの手段です。

なお共有持分の売買価格については、実勢価格や固定資産税評価額などに基づき決定するケースがほとんどです。

合意の金額のもとで持分を買い取り、単独名義にする流れとなります。

自身の持分のみを売却する

共有者と合意が取れず、不動産全体で売却および持分買取が不可能な場合は自身の持分のみを売却する手段もあります。

自身の持分であれば共有者の合意は必要なく、自身のタイミングで売却が可能です。

しかし共有持分のみの売買は、一般的な不動産では扱ってくれない傾向があります。そのため共有持分の専門業者に依頼することが一般的です。

なお弊社も共有持分の扱いを熟知しており、買取を含めた共有持分に関する問題解決に注力しております。複雑な法律関係の問題も解決できるよう弁護士や税理士とも連携しておりますので、現在お悩みがある方はお気軽にご相談ください。

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まとめ

共有名義は夫婦での不動産購入や相続の際などに発生しやすいですが、デメリットが多い存在であることは事実です。

安易に共有名義にすると後悔する点も多いため、共有名義にする場合はリスクも考慮した上で慎重に判断するようにしましょう。

なお既に共有名義であり、解消を考えている方はお気軽にご相談ください。

共有名義に関する問題は法律や税金周りも絡み、複雑になるケースがほとんどです。弊社では弁護士や税理士など各業界のプロと連携して問題解決に取り組んでおりますのでお気軽にご相談ください。

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