解決したい - 整理における交渉や訴訟トラブルQA 2024.03.25

【デメリットは大きい?】共有物分割請求訴訟とは?実際の流れや費用感を紹介

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共有関係を解消する手段の1つに、「共有物分割請求」があります。

その中でも共有物分割請求訴訟を起こせば、裁判によって共有物が分割されるため、共有者同士で協議が調わない場合に共有分割請求訴訟に発展する可能性があります。

共有者が近親者の場合、その近親者と裁判をする、といった状況になります。自身の共有持分を売却するだけなら共有者の同意は必要ないため、自身の共有持分のみを売却する方法も1つの手段でしょう。

この記事では、共有物分割請求の詳細や気になる細かな点を紹介します。

共有物分割請求とは

共有物分割請求とは、2人以上で不動産などを所有し、共有者のひとりが共有状態の解消を求める請求です。

共有物分割請求は法的強制力があるため、他の共有者は共有物の解消に向けて対応しなければなりません。

そもそも共有物分割とは

共有物分割とは、不動産などの共有物を単独者の所有物とするために分割することです。

共有関係では何かトラブルが発生する可能性があり、その共有関係を解消するための手段の1つとして「共有物の分割」があります。

なお分割請求がなされた場合は、共有者間で分割の協議が始まりますが、それでも決着がつかない場合に「共有物分割請求訴訟」を利用し、判断を裁判所に委ねる流れとなります。

ちなみに、共有関係から抜けたいだけなら「自身の持分だけ売却」という方法もあります。自身の持分売却については他の共有者との同意が必要ありませんので、持分売却に注力した業者に依頼するのが一般的です。

弊社も共有持分の売却に注力しており、ご相談は常に承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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共有物分割請求の全体像

共有物分割請求の全体像は、下記のとおりです。

  • 共有物分割請求が行われる→協議
  • 協議で決着が付かない→調停or訴訟

調停とは調停委員の立会いのもと話し合いが行われるものです。ただ決定は本人たちに委ねられるため、話し合いが平行線になることが目にみえている場合、調停を経ずに訴訟に進む場合があります。

なお共有物分割訴訟の要件として、事前に協議が行われていることがあります。

(裁判による共有物の分割) 第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#870

上記の形で、共有物分割訴訟が行われます。

そして訴訟の結果、主に下記3パターンの決着になります。

  • 現金分割
  • 代償分割
  • 換価分割

どのパターンでの判決になるかは裁判員の判断に委ねられます。

共有物分割請求の流れ

ということで、実際の共有物分割請求の流れを紹介します。

共有者と協議

まずは共有者に分割したい旨を説明し、協議を行います。

後にも詳しく説明しますが、訴訟となると時間や費用もかかり、対応すべき事項も増えてしまいます。そのため協議段階でお互いが納得できる着地点を見つけることが重要です。

しかし金銭も絡む話し合いのため、うまく話が進展しないケースも多いでしょう。

その場合は訴訟を通して、話し合いの決着を裁判所に委ねていきます。

なお裁判所の調停員を間に入れて話を進めることも、方法としてあります。

調停では、有識者の助言も聞きつつ話を進められますが、最終決定は本人たちで決めることになりますので、協議が調わない場合は訴訟申し立てに入ります。

訴訟申し立て

訴訟を申し立てする際は、下記の書類を共有不動産の所在地、もしくは被告の住所地を管轄する地方裁判所に提出します。

  • 郵便料
  • 収入印紙
  • 固定資産評価証明書
  • 訴状の正本および副本
  • 全部事項証明書(登記簿謄本)

ただ、基本的には弁護士に任せられます。そのため、必要書類の取り寄せなどを行い弁護士にお願いする形で良いでしょう。

呼び出し状が届く

裁判所の混み具合/処理速度によりますが、書類提出からおよそ1ヶ月後に共有者に対して口頭弁論期日等をお知らせする書面が裁判所から送付されます。

口頭弁論もしくは答弁書の提出

訴訟された共有者は、期限の1週間前までに「口頭弁論」か「答弁書の提出」が必要です。これらを行わない場合、主張を放棄したとみなされます。

  • 呼出状:民事訴訟において、原告や被告その他の訴訟関係人に期日を知らせて出頭を命じる旨を記載した書面
  • 口頭弁論:口頭弁論とは法廷で当事者が言い分を公平・平等に述べる機会のこと
  • 答弁書:訴訟記載の事実に対する認否などを記した書面のこと

口頭弁論もしくは答弁書の内容をもとに、裁判所が両者の主張を適切に理解し、判定を行います。

なお口頭弁論もしくは答弁書の提出がない場合は、原告の請求がそのまま通ってしまう可能性が一般的に高いと言えるでしょう。

裁判所より判定が下される

口頭弁論もしくは答弁書の内容をもとに、裁判所が判定を下します。

裁判所が判断をくだしますので、必ずしも望ましい結果になるとは言えません。たとえば競売といった裁判所の判断が下されることもあります。競売になった場合は落札価格で売却をすることになりますので希望する価格との乖離がでてくることも十分に考えられます。

このように、場合によっては経済的な損失を被る可能性もありますので、共有者同士で落とし所を見つけることも大切です。

共有物分割請求訴訟による判例パターン

では、共有物分割請求訴訟による判例パターンおよび分割解消方法を紹介します。

現物分割

共有物分割ではよく行われる解消方法です。

共有物を物理的に分ける方法で、現物の不動産をそのまま分けます。

たとえば持分を50%ずつ保有しているAさんとBさんがいたとして、土地を共有していたとします。その場合は土地を50%ずつ単独名義にて所有する形です。

ただし家など建物は物理的に分割できないため、その場合は現物分割ではなく他2つの方法が取られます。

代償分割

代償分割とは、他の共有者に持分に応じた代金を支払うことで共有状態から単独名義に変更する方法です。

たとえば評価額2,000万の不動産を、AさんとBさんが50%ずつの割合で持分を所有している場合は、AさんがBさんに1,000万を支払い、Aさんの単独名義にする形です。

ただ、代償分割を行うには支払い能力が必要なため、現実的に支払いが不可能な場合はこちらの方法は採用されません。

換価分割

換価分割とは、共有不動産を競売にかけることで現金化し、その現金を持分に応じて配分する方法です。

現物分割では資産価値を損ねてしまう、代償分割をする支払い能力がだれにもないといった場合、この換価分割が行われます。

ただ換価分割では、競売のため一般的な不動産売却よりも低い金額になりやすい・所有している不動産を手放すことになるという2点があるため、好ましい方法とは言えません。

そのため共有者とは話し合いを上手く進め、お互いに不利益になる結果にならないよう意識を向ける取り組みも大切と言えるでしょう。

共有物分割請求のメリットとデメリット

ここからは、共有物分割請求のメリットとデメリットを確認していきましょう。

共有物分割請求訴訟のメリット

共有物分割請求訴訟のメリットは下記の3点です。

共有状態を解消できる

やはり、まずは共有状態を解消できることがメリットです。

共有状態では管理や維持、税金周りなどでトラブルが起きやすく、精神的にストレスを抱えてしまう場合もあるでしょう。

そのため、面倒な共有状態から解消されたいという点から共有物分割請求を行う方は多いはずです。

適正な価格が提示される

取得金額は、協議で決まらない場合、裁判所が選任する不動産鑑定士により決定されます。

適正な価格にてやり取りが行われるため大きな損を被る心配が必要ありません。

共有状態の解消に納得感が出やすい

訴訟まで進めば、解消方法の決定は裁判所に委ねられます。

そのため誰かが極端に得をするといったケースは想定しづらく、共有状態の解消に納得感を持てる点がメリットと言えるでしょう。

共有物分割のデメリット

その一方で、下記のようなデメリットもあります。

決定まで時間がかかる

訴訟まで進むと、最終的な決定まで6ヶ月から1年ほどかかる場合もあります。

そのため、常に共有状態に関することが頭にありますので精神的にしんどく感じてしまう可能性もあるでしょう。

とにかく早く解決したい場合は、自身の持分のみを売却するなど、共有物分割請求を使用せずに共有状態から抜けるのも1つの手段です。

弁護士などの費用がかかる

訴訟まで進めば裁判が始まります。裁判の処理などを個人で行うのは難しく、やはり弁護士などに頼らざるを得ないケースは往々にしてあります。

そして、もちろん弁護士に依頼するにはお金がかかりますので、金銭的負担が生じます。

依頼内容にもよりますが、数10万から100万以上の費用が必要なケースもあるため、現金の準備が必要です。

共有者との関係が悪化する

時間もかかり、お金もかかるため、裁判を行う共有者と関係が悪化する可能性はあるでしょう。

たとえ親族であっても、これからは良好な関係を築けない可能性を考えると、やはり協議の段階で解決できることが望ましいです。そういった背景も踏まえて、訴訟には進みましょう。

希望通りの結果にならない場合も

訴訟まで進んでも、必ずしも希望通りの結果になるとは限りません。

あくまで裁判は公平に判定する場所ですので、受け止め難い結果になってもそれを受け入れるしかありません。

その点は、先に理解してから取り組むべきでしょう。

共有物分割請求に関するよくある疑問

最後に、共有物分割請求に関するよくある疑問をまとめます。

弁護士費用はどれくらい?

依頼内容にもよりますが、数10万から100万以上の費用が必要なケースもあります。

なお弁護士の依頼料は着手金と報酬金の2つが設定されているケースが多く、取り組む不動産の評価額に合わせて変動するパターンがほとんどでしょう。

共有物分割請求訴訟の要件は?

共有物分割請求訴訟を行うには、協議を行っておく必要が必ずあります。

(裁判による共有物の分割) 第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#870

あくまで協議では解決しないため、訴訟により裁判所に委ねるという構図ですので、いきなり共有物分割請求訴訟を起こすのは不可能です。

訴訟が棄却されるケースはある?

あります。

たとえば5年のうちは共有物分割請求は行えないといった取り決めがある場合があり、このケースだと訴訟は棄却されます。

第256条
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#870

また訴訟内容が明らかに不公平なものであれば、裁判所より棄却の判断が下されます。

訴訟された場合、対応せずに放置しても良い?

訴訟された場合は必ず対応することをおすすめします。

裁判所は口頭弁論もしくは答弁書の内容をもとに話を進展させていきますので、主張がない場合だと訴訟を起こした人の意見が通りやすくなる傾向があります。

まとめ

共有物分割請求が行われる際は、共有者同士で慎重に話を進めることが大切です。

自分の希望だけを一方的に主張しても訴訟に発展するだけで、面倒な事態になりがちと言えます。

なお、自身の持分のみなら共有者の同意なしで売却することが可能です。早く面倒事から解放されたいと考えているなら、持分買取に特化している業者に依頼してみるのも1つの手段です。

弊社も共有持分の買取に取り組んでおり、依頼主様にとって最善の結果になるよう努めております。まずはお気軽にお問い合わせください。

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