解決したい - 財産分与や相続税にまつわるトラブル 2024.10.23

底地の物納とは?物納が難しいと言われる理由や対処法を解説!

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底地の相続により相続税が発生しますが、現金での納付が行えず「物納」を検討している方もいるでしょう。

しかし物納には条件が複数あり、権利関係が複雑な底地は物納できないケースがあります。

この記事では、物納の基本情報から把握しておくべき注意点、実際の流れについてわかりやすく解説します。

物納とは

物納とは、相続税の支払いをお金以外の相続財産で納付する方法です。

本来相続税は、指定された期間までに現金で納める必要があります。しかし一括支払いが行えない、延納によっても金銭の支払いが困難である場合は、支払いが困難な分をお金以外の相続財産によって納付できます。

ただし、後述しますが物納は簡単に認められるものではありません。その点も踏まえ、物納のメリットとデメリットについても確認しておきましょう。

物納のメリットとデメリット

メリットとデメリットをそれぞれ説明します。

物納のメリット

物納のメリットは、譲渡所得税が発生しないことです。

不動産を売却する際は、売却によって得た利益に譲渡所得税がかかります。しかし物納は国への譲渡と位置付けられており、譲渡所得税は発生しません。

一方で支払うべき税金額以上を物納した場合はは現金で還付されます。そして還付された現金に税金がかかることになっています。

物納のデメリット

物納のデメリットは、主に下記2つです。

  • 低い価格で評価される
  • 事前準備に時間を要する

物納する不動産(財産)は、相続税評価額に基づいて評価されます。しかし相続税評価額は実際の取引価格よりも低い傾向があり、相場よりも低い金額でやり取りが行われる恐れがあります。

また物納を実施するには、物納できる要件を満たしているかなど、いろいろと確認事項があり多くの時間が必要です。周辺知識がないと手続きを適切に進められない恐れもありますので、専門家に相談する必要も出てくるでしょう。

底地の物納が難しいと言われる理由

底地の物納が難しいと言われる理由は、下記の項目を満たしておく必要があるためです。それぞれ詳細を説明します。

権利関係者が明確である

権利関係者とは、主に地主と借地人についてです。

土地を貸している借地人が明確であるかを明確にする必要があり、仮に明確にできない場合は、物納することは難しいでしょう。

底地に関する争いがない

地主と借地人など利害関係者に争いがある場合は、物納することが難しくなります。なお争いとは、下記のような例を指します。

  • 地主と借地人間のトラブル
  • 近隣住民との土地に関するトラブル

上記のような点で争いが発生している場合、解決することで物納ができるようになると考えて問題ありません。

また地代の支払いが滞納している場合においても、物納は行えません。

地代が相場通りである必要がある

地代が相場通りに設定されているかも重要な点です。

具体的には、近隣借地の地代の70%程度を下回っていると相場通りではないと判断されます。

土地が単独利用できる

土地が単独利用できない状態では、物納は行えません。具体的には下記のような状態を指します。

  • 境界線が曖昧である
  • 道路に面していない
  • 30度以上の角度がある崖地である

また抵当権が設定されているなど、担保になっている状態や買い戻しの特約がついている状態でも物納は行えません。

物納財産は優先度を考慮する必要がある

物納に充てる財産の種類は、不動産などを代表とした第1順位から優先的に物納申請を行えます。

しかし財務局によって管理および処分に向かない財産とみなされた「管理処分不適格財産」に該当する場合は物納申請ができません。

また自由に使用や処分しにくい「物納劣後財産」とみなされた場合は、ほかに物納に充てるべき適当な財産がない場合のみに物納申請が認められます。

上記のように優先度を考慮する必要があり、これらを考慮しないと申請自体行えない仕組みです。詳しくは次項で紹介します。

物納の適用条件と優先度

ここからは、物納の適用条件と優先度についてわかりやすく説明します。

物納の適用条件とは

物納が認められるには、下記の条件が満たされている必要があります。

  • 延納によっても金銭で納付することが不可能である
  • 物納できる財産であり、申請の順位を満たしている
  • 納付期限までに申請書が提出されている

上記の条件を満たしている場合に限り、物納が可能となります。

ただし、先ほど説明したように「管理処分不適格財産」もしくは「物納劣後財産」に当てはまる場合は物納の対象として認められない場合が多々あります。

管理処分不適格財産の具体例は、下記のような状態である不動産です。

  • 境界線が曖昧な土地
  • 担保権が設定されている土地
  • 権利関係で争いが発生している土地
  • 近隣住民と争いが発生している土地
  • 他人の土地に囲まれて公道に面していない土地

また物納劣後財産の具体例は、下記のような状態である不動産です。

  • 違反に建築された建物
  • 地上権や地役権が設定された土地

詳細は国税庁のHPにも記載されておりますので、より詳細な定義を把握したい方は参考にしてください。

»参考:国税庁「No.4214 相続税の物納

物納に充てる資産の優先順位とは

物納に充てる資産には、下記の通り優先順位も定められています。

第1順位不動産・上場株式・国債証券・地方債証券、船舶
第2順位非上場株式
第3順位動産

底地は第1順位に当てはまるため、申請の対象にはなります。しかし先ほども述べたように、権利関係が複雑である背景から「管理処分不適格財産」とみなされるケースがあるため、底地の物納はうまくいかないケースが多いと言えます。

なお「管理処分不適格財産」に該当した場合は、問題の解決を図るしかありません。

とはいえ物納の条件を満たし、「管理処分不適格財産」にも該当しない場合は底地を物納することは可能です。そのため、相続した底地が、どのように判断されるかが重要となってきます。

底地の物納に関するよくある疑問

最後に、底地の物納に関するよくある疑問を紹介します。

底地を物納する際の流れは?

物納の流れは下記のとおりです。

  • 物納申請財産の決定
  • 物納申請書の提出
  • 税務署による許可・却下の判断

まずは物納を申請する財産を決め、申請財産に基づき申請書を提出します。

申請書提出後は、税務署により調査が行われて3ヶ月以内に許可または却下の判断が下される形です。

なお申請状況によっては、最長9ヶ月以内に許可または却下の判断が下されます。

底地の物納が難しい場合の対処法は?

物納が難しい場合は、下記の方法も手段として挙げられます。

底地の売却の検討

1つ目は底地の売却です。物納が難しくても売却自体は可能ですので、売却により現金を取得する方法もあります。

なお売却相手は「借地人」か「第三者」となりますが、売却額は借地人のほうが高額になる傾向があります。

というのも借地人が底地を取得できれば、土地と建物の不動産全体の所有権を有することができ、借地人にとってはメリットがあるためです。

そのため売却を考える際は、まずは借地人に話を持ちかけてみることをおすすめします。

相続放棄の検討

そもそも底地を相続しないという選択もあります。相続放棄により底地を相続しなければ、相続税も発生しません。

ただし相続放棄は、相続遺産をすべて放棄する選択です。底地だけ相続放棄する、といった使い方はできませんので注意が必要です。

他に相続遺産がある場合は、相続放棄するメリットがそもそもあるのか考え、慎重に判断するようにしましょう。

まとめ

底地の物納自体は可能ですが、権利関係が複雑な背景から物納の対象として認められないことは事実としてあります。

物納の条件を満たしていることは前提として、基本的に下記を確認して問題ないと言えることが必要です。

  • 権利関係者が明確である必要がある
  • 底地に関する争いがない必要がある
  • 地代が相場通りである必要がある
  • 土地が単独利用できる必要がある
  • 物納財産は優先度を考慮する必要がある

上記も踏まえ、物納が難しい場合は底地の売却による現金化を考えていくのが良いでしょう。

なお底地の売却は、一般的な不動産業者では取り扱ってくれない傾向があります。そのため底地について熟知している不動産業者に依頼することをおすすめします。

弊社も底地については熟知しており、数々の問題解決に注力しております。また権利関係が複雑なものに対しても、弊社では弁護士や税理士などと協力して取り組みを行っているため、ご依頼者に合わせた最適な対策方法のご提案が可能です。

相談自体は常に承っておりますので、所有する底地で悩んでいる部分がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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