解決したい - 財産分与や相続税にまつわるトラブル 2024.03.25

住宅取得資金贈与は共有名義で適用できる?夫婦それぞれで活用する際の注意点とは

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親から子に資金が受け渡されると、一般的に贈与税が発生します。

しかし「住宅取得資金贈与の非課税特例」を利用することで、贈与税が発生せず資金を贈与してもらうことが可能となります。

では共有名義物件の場合はどうなるのでしょうか。この記事では共有名義物件でも「住宅取得資金贈与の非課税特例」が利用できるのか、また知らないとマズイ注意点も紹介します。

非課税となる住宅取得資金の贈与は共有名義でも適用される?

結論から言うと、共有名義の不動産でも適用できます。夫婦それぞれで、非課税で住宅取得資金を贈与してもらえます。

まずは住宅取得資金の贈与税非課税枠について、詳細を確認しておきましょう。

住宅取得資金の贈与税非課税枠とは

住宅取得資金の贈与税非課税枠とは、居住のための住宅を購入する際に、贈与された一定金額が非課税となる枠組みです。

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

2023年現在では、最大1,000万円まで非課税の対象となっており、取得予定の物件によって上限が変わります。下記を参考にしてください。

  • 省エネ住宅:1,000万
  • それ以外の住宅:500万

省エネ住宅の詳細

  1. 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること。
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。
  3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。

住宅取得資金贈与の適用条件について

贈与税がかからないため活用したいところですが、適用条件は細かく定められています。以下に、代表的な適用条件をまとめます。

  • 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること
  • 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること
  • 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと
  • 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと

くわしくは国税庁HPにも記載されていますが、よくある注意点としては直系卑属からの贈与が対象となるため、叔父や叔母からの贈与は非課税の対象にはなりません。

また資金を受け取るタイミングについても、下記の点に注意する必要があります。

  • 資金の受け取りは入居前であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日まで住宅用の家屋の新築等をすること

上記が実施できていない場合も、非課税対象とはなりません。後で知らなかった、、、では後悔してしまいますので、把握しておくことをおすすめします。

夫婦それぞれでも適用される

この住宅取得資金の贈与税非課税枠は、夫婦それぞれで適用が可能です。

たとえば夫と妻がそれぞれの親から500万ずつ贈与があった際は、計1,000万が非課税対象となります。

なおこの場合、夫と妻がそれぞれ出資して物件を取得していますので、共有名義になるのが一般的です。具体例で説明します。

具体例:3,000万の物件を取得する場合

夫:2,500万出資

妻:500万出資

持分割合
夫:5/6
妻:1/6

上記のような形となります。
ここで夫の単独名義とすると、「妻から夫に500万の贈与があった」とみなされ、「妻→夫」間での贈与税が発生します。

単独名義にしたい考えがあるなら問題ないですが、上記については把握しておくべきでしょう。

共有名義で購入する際の住宅取得資金贈与を受ける注意点

ここからは、共有名義で購入する際の住宅取得資金贈与を受ける際の注意点4つを紹介します。

  • 非課税となるのは直系尊属の場合のみ
  • 持分割合は資金負担額の割合で決める
  • 資金贈与は入居前に受ける必要がある
  • 税金はなくとも確定申告を行う必要がある

非課税となるのは直系尊属の場合のみ

繰り返しですが、非課税となるのは直系尊属(親や祖父母)からの贈与の場合のみです。

たとえばおじやおば、配偶者の親からの贈与は対象とならず、贈与税が発生します。

そのため妻の親が資金贈与を考えている場合なら、妻が親から贈与してもらい、その資金を物件の取得費用に当てる形となります。

持分割合は資金負担額の割合で決める

住宅取得資金贈与の関係で夫と妻それぞれが出資した場合は、共有名義にする必要があります。

そして共有持分の割合は資金の出資比率に合わせる必要があり、先ほど紹介した具体例の様な形となります。

夫:2,500万出資

妻:500万出資

持分割合
夫:5/6
妻:1/6

単独名義にする場合は妻から500万の贈与があったという形で、贈与税の支払いが必要となります。そのため税金をおさえたい考えがあるなら、共有名義で物件を購入するようにしましょう。

資金贈与は入居前に受ける必要がある

住宅取得資金の贈与は、入居前に受け取る必要があります。

すでに入居している状態で資金を取得しても、それは単なる贈与とみなされ贈与税が発生します。ですのでこの制度を活用しようと思っている方は、入居前に受け取れるよう話を進めておきましょう。

なお「贈与を受けた年の翌年3月15日まで住宅用の家屋の新築等をすること」も条件として定められていますので、資金を受け取った3年後に物件を取得するような場合ですと、こちらも適用外となります。

税金はなくとも確定申告を行う必要がある

贈与税が発生しない場合でも、確定申告を行う必要はあります。

そもそも住宅取得資金の贈与を非課税とするためには、贈与税の申告をする必要があり、申告を行わないと贈与税に関する通知が届く場合があります。

また夫婦それぞれで資金を取得した場合なら、夫と妻がそれぞれ確定申告を行う形です。忘れていると後悔しますので、確定申告は必要であると覚えておきましょう。

非課税枠を超える場合の対処法

最後に非課税枠を超える場合の対処法を紹介します。

  • 年間110万まで非課税となる暦年贈与の併用
  • 親と共有名義の状態で住宅を購入する

年間110万まで非課税となる暦年贈与の併用

住宅取得資金贈与の制度と併用して、年間110万円まで非課税となる暦年贈与の活用がおすすめです。

毎年110万円までなら贈与税が発生しませんので、年単位で贈与しても問題ない場合は暦年贈与の活用を検討してみても良いでしょう。

親と共有名義の状態で住宅を購入する

贈与税を発生させないため、親と共有名義状態にすることも1つの方法です。

非課税枠までは親に資金贈与をしてもらい、非課税枠を超える部分については親と共同して不動産を購入する形となります。少し具体例で見てみましょう。

具体例:3,000万の物件を購入する場合

子:2,000万出資
うち500万は親が贈与

親:1,000万出資

持分割合
子:2/3
親:1/3

上記の場合、親は計1,500万を出していますが、500万は贈与のため子が出資したとみなされます。そのため、持分割合も記載の形式になる形です。

親と共有状態になっても問題ないと思う方は、こちらの方法で購入を検討しても良いでしょう。

まとめ

改めてですが、住宅取得資金の贈与税非課税枠とは居住のための住宅を購入する際に、贈与された一定金額が非課税となる枠組みです。

主な適用条件は下記になります。

  • 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
  • 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
  • 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
  • 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと
  • 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと

親から贈与がある場合は、上記の制度をうまく活用することで税金の支払いをおさえられます。

注意点も意識しつつ、ぜひ活用してみましょう。