売りたい - 売却にかかる税金と周辺知識 2024.03.25

共有名義不動産売却にかかる税金は?種類と計算方法をわかりやすく紹介

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共有持分を売却したり相続等により取得する場合には、税金が発生します。

こちらの記事では、共有持分に関して発生する税金の詳細や計算例などをご紹介しますのでぜひご参考にしてください。

特に共有名義の不動産全体を売却する際の税金や、共有持分の一部のみを売却する際の税金や注意点は知っておくべき点ですので、その辺りもより深く解説します。

共有持分によって発生する税金の種類

そもそも共有持分に関する税金は、主に下記3つのパターンに分かれます。

それぞれにかかる税金の詳細とシチュエーションの共有

売却時の税金

共有持分の売却は、下記2つの場合が考えられます。

  • 共有持分の一部を売却
  • 共有名義の不動産を全員で売却

そして売却方法に関わらず、下記の税金が発生します。

  • 譲渡所得税
  • 住民税

収入を得た際に発生する「譲渡所得税」と「住民税」があります。

なお余談ですが、一般的に共有持分の一部を売却する時は相場より安くなる傾向があります。そのため「共有者全員で共有名義の不動産を売却する」か「共有持分売却の専門業者に依頼するか」のどちらかで、より高額で売れる対策はしておくべきです。

取得時の税金

取得時とは、主に下記の状態を指します。

  • 購入
  • 贈与
  • 相続

そしてかかる税金は、それぞれ下記のとおりです。

  • 購入:不動産取得税
  • 贈与:不動産取得税
  • 相続:相続税

購入と贈与では「不動産取得税」が発生し、相続の場合は「相続税」が発生します。それぞれの詳細は、後に紹介します。

所有時の税金

土地や不動産を所有している状態では、下記の税金が発生します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

これらの税金は共有者の代表が支払いますが、あくまで立て替えであり共有者で分割して支払うことが一般的です。

また賃貸収入を得ている場合は、収入額に応じた「所得税」と「住民税」も発生します。

共有持分の売却方法と税金の詳細

ここからは共有持分の売却方法と、税金の詳細について見ていきましょう。

共有持分の売却方法は主に3つ

共有持分の売却方法は、主に下記3つになります。

それぞれ、詳細を紹介します。

共有者全員で売却

まずは共有者全員で同意をした上で、不動産を売却する方法です。

1つの不動産を売却して、その売却額を持分割合に応じて分配します。たとえば2人が50%ずつ共有持分を所有していて、3,000万で売却できた場合、1,500万ずつで収入が分配されます。

しかし共有者の1人でも売却に反対した場合、売却はできません。たとえ持分割合が1/100であったとしても、不可能です。

土地を分筆して売却

共有不動産が土地の場合に限りますが、土地を分筆して売却することも可能です。

土地を分筆することでそれぞれ単独名義として所有し、自由に管理・売却を行える状態となります。

自身の持分のみを売却

自身の共有持分自体は、共有者の同意なしで売却することが可能です。

ただ共有持分のみの売却は、相場より安くなる傾向があります。そのため売却額が低くなることは、想定しておくべきでしょう。

なお共有持分の売却は、共有持分の売却に注力をしている業者に依頼した方がより高額で売却することが期待できます。こちらも知っておいて損はないでしょう。

所有期間で変わる譲渡所得税と住民税

ここからは、実際にかかる税金の詳細について見ていきましょう。

売却時に発生する税金は「譲渡所得税」と「住民税」の2種で、共有持分の保有期間によってその税率が変わります。

共有持分を保有して5年以下の場合

5年以下の場合は「短期譲渡所得」という形になり、所得税と住民税は下記の税率になります。

  • 譲渡所得税:30%
  • 住民税  :9%
  • 復興所得税:0.63%
    ※東日本大震災の復興資源として、復興所得税2.1%(30×2.1%=0.63%)が所得税に併せてかかります。

つまり譲渡所得金額が3,000万だった場合の計算方法は下記です。

  • 譲渡所得税:3,000万×30%=900万
  • 住民税  :3,000万×9%=270万
  • 復興所得税:3,000万×0.63%=19万

計:1,189万

共有持分を保有して5年以上の場合

5年以上の場合は「長期譲渡所得」という形になり、所得税と住民税は下記の税率になります。

  • 譲渡所得税:15%
  • 住民税  :5%
  • 復興所得税:0.31%
    ※東日本大震災の復興資源として、復興所得税が所得税に併せてかかります。

つまり譲渡所得金額が3,000万だった場合の計算方法は下記です。

  • 譲渡所得税:3,000万×15%=450万
  • 住民税  :3,000万×5%=150万
  • 復興所得税:3,000万×0.31%=9万

計:609万

つまり5年以下か5年以上で税金が大きく変わりますので、売却時期はとても重要な観点です。

譲渡所得の求め方と特別控除について

譲渡所得額の求め方や特別控除についても確認しておきましょう

譲渡所得額の求め方

そもそもですが、税金を計算する際の譲渡所得額は売却額とは違います。譲渡所得額は、下記の計算式で求めます。

  • 譲渡所得額=譲渡収入額(売却額)-(取得費+諸経費)

たとえば、下記の例で考えてみましょう。

  • 当時の購入額:3,000万
  • 売却にかかった諸経費:500万
  • 実際の売却額:4,000万
  • 4,000万-(3,000万+500万)=500万(譲渡所得額)

この500万を元に、譲渡所得税や住民税をかけて計算する形となります。

特別控除について

よくある例は、下記の2点です。

  • マイホームを売った時の特例
  • マイホームを売った時の軽減税率

マイホームを売った時の特例としては、最高3,000万まで控除される形です。共有状態なら、共有者それぞれに適用されます。

またマイホームを売った時の軽減税率としては、所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得の6,000万円を超えた部分は所得税が15%、住民税が5%になり、6,000万円以下の部分は、所得税が10%、住民税4%になります。

こちらの2点も、把握しておくと良いでしょう。

共有持分の取得(購入・贈与・相続)による税金の詳細

ここからは取得による税金の詳細を、購入時・贈与時・相続時の3点に分けて紹介します。

購入時の税金詳細

購入時にかかる税金は「不動産取得税」になります。そして計算方法は、下記のとおりです。

  • 不動産取得税=固定資産税評価額×4%

贈与時の税金詳細

贈与してもらった際は「贈与税」が発生します。こちらは不動産の評価額をもとに贈与分を算出し、贈与税が決定される形です。

なお、共有者が共有持分の放棄をした場合には「みなし贈与」と認識されるケースがあります。

そもそも共有者が共有持分を放棄した場合、その共有持分は共有者に割り振られます。つまりその分の持分を「贈与」されたと捉えられますので、そこに贈与税が発生する形です。

なお年間110万円までは基礎控除の範囲なので、110万円を越えるかどうかが1つのラインになります。

相続時の税金詳細

相続時は「相続税」が発生しますが、下記の計算式より出せる基礎控除額を超えた場合に発生します。

基礎控除額=3,000万+(600万×相続人数)

上記より算出した基礎控除額を超えた場合に、相続税の計算が必要となります。

»参考:国税庁「相続税の計算

基本的には相続の必要性があると知った相続開始日から10カ月以内に税務署に申告し、一括で納めます。

共有持分の売却時に注意すべきこと

最後に、共有持分でよくある売却について、注意すべき点を紹介します。

共有者に売却の旨を伝える

売却する際は、共有者に売却の旨は伝えておくべきでしょう。

やはり共有者全員で売却をした方が、売却額は高くなる傾向にあります。場合によっては共有者の1人が買い取らせて欲しいとお願いを受け、第三者に譲渡するよりも高額で買い取ってもらえるかもしれません。

自身の持分比率を確認する

売却をする上で、自身の持分比率は確認しておきましょう。当然ですが持分割合によって、売却額は大きく変わります。

なお、持分割合については登記簿より確認できます。

共有持分の売却に注力している不動産業者に依頼する

自身の持分のみを売却したい際は、共有持分買取に注力をしている不動産業者に依頼することをおすすめします。

共有持分はその特性上、あまり多くの人に需要があるものではありません。そのため買い手を見つけるのに時間がかかるケースも多く、うまく売却につながらない場合もあります。

しかし共有持分を専門とした業者は買取先を広く知っている背景もあり、スムーズに、かつ高額で売買を完了しやすい特徴があるため、利用しておくべきでしょう。

弊社も共有持分買取を専門に努めており、現状の相談なども承っております。まずはお気軽に、ご連絡ください。

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まとめ

共有持分に関する税金は「売却・取得・所有」によって発生します。

特に売却の場合には所有期間が5年以下か5年以上で大きく税率が変わりますので、その点も考慮して売却時期を決めても良いでしょう。

なお、共有持分を売却する際は、共有持分を専門とした業者を利用することをおすすめします。弊社も共有持分に関する問題解決に注力しており、現状の相談なども承っております。まずはお気軽にご連絡ください。

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