もっと知りたい - 権利関係の法律基礎知識 2024.03.20

敷地権とは?共有持分との違いや敷地権割合の計算方法を紹介

マンションの権利関係で「敷地権」を耳にしますが、実際はどのような権利か曖昧な方は多いでしょう。

簡単に説明すると、敷地権とは土地と建物が一体になって登記されている権利形態であり、共有持分は共有者それぞれが持つ権利の割合です。

この記事では、敷地権に関する細かい話や知っておかないと損する事実をまとめていきますので、敷地権関係の内容を頭に入れておきたい方はぜひ参考にしてください。

そもそも敷地権とは

そもそも敷地権とは「土地と建物が一体になって登記されている権利形態」を意味します。

たとえば10棟あるマンションの1部屋を購入した場合、購入した部屋とマンションの土地全体10分の1の敷地利用権を所有することになります。

敷地権とは,区分所有建物である一棟の建物の敷地に関する権利をいい、原則として、その権利は区分所有建物と分離して処分することはできません。

原則として,マンションの各部屋の所有者は,マンションの敷地の所有権等の共有持分を有しており,売買などによって部屋の所有権が移転した場合は,マンションの敷地の共有持分も一緒に移転することになります。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/000130978.pdf

敷地権割合とは

敷地権割合とは、マンションの敷地権の所有している割合を意味します。

こちらも単純な例として、室内が同じ面積の10戸あるマンションの1戸を所有しているなら敷地権割合は10分の1ということになります。

※具体的な計算方法は別にあり、記事後半で紹介しております。

敷地権が存在する理由

そもそも敷地権が存在する理由は、登記面や権利関係で複雑な状態を発生させないためです。

敷地権がないと、「土地の持分だけ」「区分建物(部屋)だけ」を売却するということが可能になり、登記の記載ミスや権利関係が複雑となりトラブルのタネとなります。

なお、後に説明しますが、敷地権がない物件も実際にはあります。そういった物件は上記の理由から「訳あり物件」と見られる傾向もあり、売却時に売れにくいデメリットもあるので注意が必要です。

敷地権と共有持分の違い

敷地権と共有持分の意味について、それぞれまとめます。

敷地権
土地と建物が一体になって登記されている権利形態

共有持分
共有者それぞれが持つ権利の割合

マンションには基本的には「敷地権」があり、夫婦などの共有者で購入した場合はその敷地権を共有持分の割合に応じて所有する形になります。

具体例でチェック

  • 室内が同じ面積の10戸あるマンションの1戸を夫婦で購入
  • マンション1部屋の価格は3,000万
  • 夫婦それぞれ1,500万ずつを出資
部屋の共有持分敷地権の共有持分
1/21/20
1/21/20

いわゆる権利関係で共有持分の割合を確認した場合、上の表の計算で考えて問題ありません。

補足事項

  • 部屋(占有部分)の持分合計は1→部屋自身は購入者の単独所有
  • 敷地権の持分合計は1/10→敷地権は居住者との共同所有

結論として、敷地権はマンション購入時に付随する権利であり、マンションの部屋を共有で購入した場合にその共有持分の割合に応じて共有者たち(夫婦など)の敷地権の所有割合も変わります。

敷地利用権とは

敷地権とセットで「敷地利用権」も耳にしますが、この言葉の意味も知っておきましょう。

敷地利用権とは

分譲マンションのような区分所有建物において、区分所有者が持っている土地に関する権利のこと

敷地権との違いは下記です。

敷地権と敷地利用権の違い

  • 敷地:建物が立っている土地のこと
  • 敷地権:土地と建物が一体になって登記されている権利
  • 敷地利用権:その敷地を利用することができる権利

敷地利用権は文字通り、所有している敷地を利用できる権利です。そして繰り返しですが、「敷地権」は権利形態を意味しています。

敷地権の設定がないマンションも存在する

現在のマンションには敷地権は必ずありますが、1984年以前に建てられた物件では敷地権が設定されていない場合もあります。

そもそも敷地権は1984年に制定された制度であり、敷地権登記が行われていないマンションもあります。ただ違法物件ではないので、住むには問題ありません。

ただ敷地権がないマンションはいわゆる「特殊な物件」であり、売却時に値が付きにくいといったデメリットを抱えています。

敷地権がないとなぜ良くない?

  • 登記情報が非常に多く、確認が大変
  • 土地と建物を別々で購入でき、トラブルが起きやすい

上記を代表に、敷地権がないマンションはトラブルが起きやすい...と見られている傾向があります。

そのため敷地権のないマンションを所有しており売却を考えている場合は、早めに準備を進めた方が良いでしょう。特に税務や法律などにくわしい不動産買取・仲介業者に依頼することをおすすめします。

敷地権に関して知っておくべきこと・注意点

ここからは、知っておくと得するポイントをまとめます。

敷地権の割合の計算方法について

敷地権の割合計算の方法は、以下になります。

各専有部分の床面積÷専有面積の総床面積=敷地権の割合

先ほど「室内が同じ面積の10戸あるマンションの1戸なら、敷地権は1/10…」とお伝えしましたが、厳密には上記の計算で出しております。

敷地部分にかかる税金について

敷地部分にかかる税金、たとえば相続税や固定資産税の算出方法は下記です。

  • 各専有部分の床面積÷専有面積の総床面積×マンション全体評価額×税率

例で見てみましょう。

  • 各専有部分の床面積:100㎡
  • 専有面積の総床面積:1000㎡
  • マンション全体評価額:1億円
  • 100㎡/1000㎡×1億円×税率=税金

上記のようにして、固定資産税などの算出を行います。

敷地権が設定されてない物件は売れにくい

繰り返しですが、敷地権のないマンションは売れにくいのが現状です。理由は主に下記です。

  • 土地管理の権利トラブルが発生しやすい
  • 管理組合がうまく機能していない可能性がある

敷地権がないことから、土地と建物が別々に売買可能となっており、登記の記載ミスなどでトラブルが発生しやすいと見られています。

また敷地権を設定していない=管理組合がうまく機能してないと見られることもあり、そういった背景から買い手が付きにくい状況です。

ですので該当の物件を売却などしたい方は、早めに対処を始めておきましょう。該当物件を子供などに相続しても、子供や孫がトラブルの対処に追われる可能性もあります。

売買を検討中の方は税務や法律にくわしい業者に依頼しよう

敷地権のないマンションを含め、共有持分の物件を売却したい方は税務や法律にくわしい不動産業者に依頼することをおすすめします。

共有物件などはトラブルに発展する事例も多く、同様の物件を扱ってきた業者の方がスムーズにかつ高額で買い取れる可能性が高いためです。

なお弊社も、税理士や弁護士などのプロと連携することで売却だけに限らない柔軟な提案をいたしております。不動産の簡易査定も行っていますので、お気軽にご相談ください。

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まとめ

敷地権や共有持分はむずかしい単語や説明が多く、頭が混乱してしまう方も多いでしょう。

しかし権利関係の話は知っておいて損はありません。最後に再度まとめておきます。

敷地権
土地と建物が一体になって登記されている権利形態

共有持分
共有者それぞれが持つ権利の割合

※敷地権はマンション購入時に付随する権利であり、マンションの部屋を共有で購入した場合にその共有持分の割合に応じて共有者たち(夫婦など)の敷地権の所有割合も変わります。

また共有物件の売却をお考えの方は、弊社にぜひお任せください。

公正なお取引をお約束することは大前提として、税理士や弁護士などその道のプロと連携して売主様のかかえている課題に対してチーム一丸で取り組んでおります。

不動産の簡易査定も行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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