もっと知りたい - 相続による整理と相続税 2024.05.12

地目が山林であるデメリットとは?家を建てる際の注意点も解説

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山林の土地を相続した方で、地目が「山林」の土地のデメリットを把握しておきたい方も多いのではないでしょうか。

地目が「山林」の土地はその土地柄、様々なデメリットが存在するので、特に家を建てたいと考えている場合はよく検討しなければいけません。

そこでこの記事では、地目が「山林」の土地の定義を確認してデメリットを解説します。また、家を建てる際の注意点も解説するので、参考にしてください。

地目が「山林」の土地の定義

地目が山林である土地の定義は、不動産登記事務取扱手続準則第68条9号では以下のように記されています。

山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
https://www.moj.go.jp/content/001394394.pdf

人工林・自然林どちらであっても地目は「山林」ですが、草刈りなどの管理を行なっている植林した土地は山林には該当しません。

しかし、「地目が山林=課税地目が山林」ではありません。課税の際は「土地の現況」によって評価方式が決まるため、別の用途で土地を利用していれば地目の山林として評価されるのではなく、その用途に該当する地目で評価される点に注意しましょう。

地目が「山林」であるデメリット

ここからは、地目が山林であるデメリットを7つ解説します。

売却が難しい

山林は購入する人が少なく売却したい人が多いため、供給過多になっており売却するのが難しいです。供給過多の背景には、これから解説する山林の様々なデメリットが原因にあります。

しかし、山林を売却できずにずっと所有し続ければ、管理費や固定資産税などの固定費を払い続けなければいけません。

そのため、山林を手放したいと考えているのであれば、不動産会社の力を借りて早めに買い手を探すのがおすすめです。

弊社「はればれ商店」では、大手不動産業者・地場業者と提携してスムーズに売却を進めてまいりますので、気軽にお問い合わせください。

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土地の活用範囲が狭い

山林は宅地と比べて土地の活用範囲が狭いです。というのも、都市計画法や森林法、宅地造成等規制法などの法律で様々な制限が設けられているからです。

たとえば、国が国土保全のために「保安林」にしている山林では、家を建てることができません。

このように山林は自由に土地を活用できないケースがあり、家を建てられる場合でも自治体との協議などで建築まで時間を有することがあります。

災害に遭うリスクが高い

山林は災害の被害に遭う可能性が高い点には、最も注意しなければいけません。

例えば、急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害警戒危険区域では土砂崩れの危険性が高いです。台風が上陸したときには、特に土砂崩れを警戒しなければいけません。

地目が山林の場合は、災害の危険性について留意して慎重に検討してから購入しましょう。

市街地へのアクセスが悪い

山林なので当然市街地や都心部から離れていることが多いため、アクセスが悪いです。場所によっては、駅から車やバスで数十分移動する必要があります。

アクセスが悪いと宅地として利用できる山林であっても、買い手を見つけるのが難しいです。

しかし、近くに大型のショッピングモールや病院がある場合は、多少悪くてもファミリー層に需要があるので買い手を見つけられる可能性があります。

建築費用が膨らむ場合がある

住宅を建てる際に、建築費用が膨らんでしまうのが山林のデメリットです。なぜなら、山林に住宅を建てる際は、以下のような工事を施す必要があるからです。

  • 宅地造成工事
  • 地盤改良工事
  • 道路開発工事

いずれの工事も大規模になることが多く、擁壁設置義務がある地域ではさらに建築費用が膨らみます。

このように山林は土地の特性上、工事が必要ですぐに住宅を建てられるわけではなく、一般的な土地と比べて建築費用も膨らむ傾向にあります。

水道管が整備されていない場合がある

土地開発がほとんど行われていない山林では、水道管が整備されていない場合があります。その場合は、住宅や他の施設を建築するときに水道を引っ張らなければいけません。

本管から新しく水道管を引っ張る必要があり、本管から距離が遠ければ遠いほど工事の規模が大きいため費用がかかります。

場合によっては水道を通すために1,000万円以上の工事費用がかかることもあるので、山林の活用を検討しているのであれば、事前に水道の有無について確認しましょう。

急なメンテナンス費用がかかることがある

山林は災害に遭う可能性が高く、雨風に晒される環境にあります。台風や大雨があった際には、二次災害のきっかけになる要因がないかを逐次確認しなければいけません。

もし、劣化などが見つけられた場合は修繕工事を行う必要があり、追加で費用がかかります。

劣化を放置して崖崩れや落石などで他人に被害が出てしまった場合は、賠償責任を追う可能性もあるので放置はできません。

したがって、山林で住宅や施設を建設する場合は、定期的にメンテナンス費用がかかることに留意しましょう。

地目が「山林」であるメリット

地目が山林の土地には、様々なデメリットが存在しますが、悪いところだけではありません。山林の土地にも良いところはあり、ここでは山林のメリットについて解説します。

税金が安い

山林は一般的に土地と比べて、固定資産税がかなり安くなる傾向にあります。というのも、山林評価では固定資産税評価額が低くなるからです。

しかし、山林の評価方法は地目ではなく、現況の土地利用で決まる点に注意しなければいけません。

例えば、地目上が山林であっても家を建てていれば、固定資産税評価額は宅地並評価によって決められます。

なお、相続税も同様に活用範囲の狭さと宅地にする難しさが考慮されて、相続税評価額が低くなる傾向にあります。

自然豊かで景観が良い

自然の豊かさと景観の良さは、山林の大きなメリットと言えるでしょう。都会にはない魅力的な場所で田舎に住みたいと考えている人もいます。

特に昨今ではリモートワークの普及に伴って都会から田舎に引っ越す人によって、山林に一定の需要があるのは事実です。

しかし、実際はまだまだ供給過多の状態が続いているので売却するのは難しいので、不動産会社によく相談しましょう。

広い土地を安く手に入れられる

もう1つの山林の大きなメリットは、宅地と比べて非常に安い価格で広い土地を安く手に入れられる点です。

例えば、国土交通省「標準地・基準地検索システム」で検索できる令和5年の東京都の住宅地と山林地の土地の価格は、以下の通りです。

  • 住宅地(千代田):3,340,000(円/m²)
  • 山林地(西多摩):76,800(円/10a)

このように住宅地と山林地では、土地価格にかなり差があります。したがって、山林の土地はとても広いのにも関わらず、宅地と比べてかなり土地価格が安く手に入れることができます。

地目が「山林」の土地に家を建築するときの注意点

地目が山林の土地に家を建てる際の注意点について、2つ解説します。

山林の土地は、インフラがすでに整備されているかの事前調査が必要です。というのも、特に水管が整備されていなければ、新たに引っ張る必要があるからです。

数百メートルの水道を本管から引かないといけない場合もあり、費用は1,000万円以上かかることもあります。

山林で安く家を建てたいのであれば、事前調査を行なってインフラが整備されているかを確認しましょう。

また、事前調査にはインフラ整備以外にも山林の地質は様々なので、地質調査も行わなければいけません。

余裕のあるスケジュールを組む

前述の通り、山林で家を建てるのであれば様々な事前調査が必要です。加えて、山林に家を建てる場合は、農業委員会や各市区町村とやりとりを行わなければいけません。

手続きは短ければ数週間で終わりますが、長ければ数ヶ月以上かかるケースも多いです。

したがって、家を建てる際は一般的な土地に建てる場合よりも時間を要するので、余裕のあるスケジュールを組むように心がけましょう。

地目が「山林」の土地を「宅地」に変更する方法

まず前提として、山林が保安林に指定されていれば、家を建てる前に解除する必要があるので注意してください。家の建設とともに地目が「山林」の土地を「宅地」に変更する手順は以下の通りです。

  • 家を建てる前に山林を造成する

  • 地目変更登記を行う

  • 地目の変更と同時並行で家を建てる

家を建てない場合でも、以下の必要書類を用意して土地を管轄している地域の法務局に持っていくだけです。

  • 測量図
  • 現地地図
  • 地目変更登記申請書
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

しかし、市街化調整区域内の山林では家を建てることができないので注意してください。なお、農林漁業を営む者の居住用建築物であれば建設可能です。

まとめ

地目が「山林」の土地は、災害リスクや売却の困難さなどのデメリットが存在します。

特に山林を手放したいのにも関わらず、所有し続けると固定資産税や管理費などの維持費を払い続けなければいけません。

そのため、不要な山林はできるだけ早く売却した方が良いでしょう。弊社では大手不動産会社や弁護士・税理士などの各種専門家と連携して売却を進めてまいります。

相続によって山林を所有したものの活用方法を見出せず、売却を考えている方はぜひ弊社にお任せください。

売却予想額の簡易査定も行なっておりますので、山林の買い手探しに困っている方は気軽にお問い合わせください。

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