もっと知りたい - 相続による整理と相続税 2024.05.12

山林を相続するメリット・デメリットとは?必要な手続きも詳しく紹介

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親が山林を所有している場合、相続の際に山林を所有する必要が発生します。

ただ山林を相続するメリットやデメリット、山林を相続する上での手続きを明確に把握できている方は少ないでしょう。

この記事では、山林を相続する上での注意点や、山林が不要である場合の対処法について詳しく紹介します。

山林を相続するメリット・デメリット

まず初めに、山林を相続するメリットとデメリットについて確認しておきましょう。

山林を相続するメリット

山林を相続する主なメリットは、収益源になる可能性がある点です。具体的に、以下のような方法で山林では収益化が可能となります。

  • 木材の売却
  • 山林の貸し出し
  • 太陽光発電の活用

もちろん山林によって状況は異なるため、上記を実現できるかは断言できませんが、活用方法が複数あることは事実です。また相続前から収益性のある状況を構築されている場合は、その状況を継続する形で良いでしょう。

結果として、うまく活用できる場合は1つの収益源となるため相続する大きなメリットとなるでしょう。

山林を相続するデメリット

山林を相続するデメリットは、管理および維持するコストが発生することです。

山林のため、一般的な土地と比べると広大である傾向があり、土地が大きいほど管理するコストも高くなります。具体的には樹林の管理費用や、固定資産税など税金の負担があてはまります。

メリットに記載したように、収益源になる可能性があるなら良いですが、特に収益源になる見込みがないなら、山林の相続は単に負担になる恐れがあるでしょう。

その場合は、この記事の後半にも紹介しますが売却などを含めた手段を検討することも重要です。

山林を相続する際の手続き

ここからは、山林を相続する際の具体的な手続き内容について紹介します。大まかに、山林の相続は以下3つのステップで完了します。

相続登記の申請

まずは相続登記の申請を行います。相続登記の申請とは、簡単にまとめると被相続人(亡くなった人)から相続することを主張するための申請です。

この申請には、主に以下の書類を用意する必要があります。

  • 相続人の住民票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍謄本

なお相続登記について、2024年4月1日以降、義務化されております。3年以内に実施する必要があり、登記しない場合は10万円以下の罰金が課せられる恐れがあるため注意が必要です。

所有者届出の提出

山林の相続の場合は、市町村長へ届出をする必要もあります。所有者となってから90日以内に実施する必要があるので、忘れないようにしておきましょう。

なお届出の対象は、各都道府県の「地域森林計画」の対象となっている森林です。森林の所有者を把握するために実施されているものであり、自身が相続する森林が対象であるかは確認しておく必要があります。

森林組合への報告

最後に、森林組合への報告も実施しておきましょう。

必須ではありませんが、管理などの面でサポートしてもらえる場合もあるため、推奨項目です。

山林の相続税の計算方法

ここからは、山林の相続税の計算方法について紹介します。計算は、以下の流れで行います。

1.遺産総額を算出

まずは相続する遺産総額を算出します。

ここでは山林の遺産額ではなく、現金や住宅などを含めたすべての遺産が対象です。

そのため資産だけではなく、負債や葬儀費用も対象となります。

2.基礎控除額を算出

遺産総額が算出できたら、次に基礎控除額を算出します。基礎控除額は、以下の計算式で算出します。

  • 基礎控除額=3,000万円+(法定相続人×600万)

たとえば法定相続人が3人である場合は、基礎控除額は次のように求めることができます。

  • 3,000万円+(3人×600万)=4,800万円

3.相続税を算出

遺産総額と基礎控除額が求まれば、以下の計算式に基づき相続税の算出が可能となります。

  • 相続税=課税額×税率
  • 課税額=遺産総額-基礎控除額

税率に関しては、以下の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
参考:国税庁「No.4155 相続税の税率

なお法定相続人が複数いる場合は、課税遺産総額を法定相続分に基づき分配してから相続税を求めます。

補足:相続税評価額について

相続税を計算するには、遺産ごとの相続税評価額を算出する必要があります。

山林の場合も同様ですが、山林は以下3つの種類に分けられ、種類に応じた評価方法があるため簡単に紹介します。

  • 純山林
  • 中間山林
  • 市街地山林

「純山林」と「中間山林」では、主に倍率方式を用いて評価します。

倍率方式とは、固定資産評価額に一定の倍率を掛けて、相続税評価額とする計算方法です。

一方で市街地山林の場合は、主に比準方式もしくは倍率方式を用いて評価します。

比準方式とは、山林が宅地であるとした場合の金額から、宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額に、地積を乗じて計算した金額により評価する方法です。

山林が不要な場合の対処法

最後に、山林が不要な場合の対処法を2点紹介します。

相続放棄を検討する

1つ目は相続放棄の検討です。相続放棄とは、遺産すべての相続を放棄する手段であり、山林以外の遺産も相続しない選択肢となります。

上記のとおり、山林以外の遺産も相続しないため、安易に選択できる方法ではありません。ただ山林以外に相続遺産が特になく、山林も活用用途が不明の場合なら選択肢の1つとして検討して良いでしょう。

山林の売却を検討する

2つ目は山林の売却の検討です。

活用できる山林ではあるものの、自身で活用することが難しい場合は売却を検討しても良いでしょう。

なお弊社「はればれ商店」では、ご依頼を受けた方と税理士や弁護士などの各種分野の専門家と協力して山林の売却をスムーズに進めてまいります。

山林の売却は一般的な不動産と違う部分もあるため、相談相手に悩んでいる方はぜひご連絡ください。

売却予想価格を導出する簡易査定も行なっておりますので、気軽にお問い合わせください。

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まとめ

山林の相続は、条件次第では良い場合もありますが活用用途がない場合は管理や維持費の負担など抱えるデメリットのほうが大きくなるケースも多いでしょう。

そういった場合は、売却を代表に複数の選択肢を検討することをおすすめします。

弊社では、税理士や弁護士などの各種分野の専門家と協力して山林の売却をスムーズに進めてまいりますので、活用方法なども含め相談相手に悩んでいる方はぜひご連絡ください。

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