はじめて - よくあるトラブル 2024.04.07

旗竿地で建て替えできないケースとは?可能にする方法も3つ紹介!

特殊な形状をしている旗竿地ですが、実は建て替えができないケースがあります。

ただ建て替えができない、つまり再建築不可物件である場合でも一定の条件を満たすことで建て替えを可能にすることはできるため、この記事ではその方法について詳しく紹介します。

また建て替えする際は、旗竿地だからこそ気をつけるべき点もいくつかあります。その点もあわせて説明しますので、参考にしてください。

旗竿地で建て替えができないケースとは

以下のケースに当てはまる場合は、そもそも建て替えを行うことができません。

接道義務を果たしていない

建築基準法第43条において、建物の敷地は幅4mの道路に2m以上接している必要があることが定められています。これを接道義務と呼び、満たしていない建物は建て替えが行えません。

このような制度が設けられている理由は、災害時や緊急時に消防車や救急車が出入りでき、作業できる空間を確保するためです。

なお接道義務を果たしていない物件は、いわゆる再建築不可物件であり、不動産としての価値は下がります。旗竿地が売れにくいと言われる理由は、主にこの点が背景にあります。

条例にある建築制限を満たしていない

建築基準法にある接道義務を満たしていても、各自治体が定める条例の条件を満たさない場合、建て替えが不可になるケースもあります。

たとえば以下は、東京都が定める条例の一部です。以下の記載の間口の長さ以上に道路に接しておく必要があると定められた内容になります。

延べ面積長さ
1,000㎡を超え、2,000㎡以下のもの6m
2,000㎡を超え、3,000㎡以下のもの8m
3,000㎡メートルを超えるもの10m
出典:東京都建築安全条例「東京都建築安全条例

再建築不可な旗竿地で建て替えを可能にする方法

接道義務を果たしておらず再建築不可物件である場合でも、以下の方法で建て替えを可能にすることができます。

隣地を購入する

1つ目は、隣地を購入する方法です。

たとえば、道路に1.8mしか接していない場合、接道義務にある2mの条件を満たしていないため建て替えは不可です。しかし隣地を購入して道路に接している長さを2m以上にすれば、建て替えは可能となります。

なお隣地の購入には「土地すべての買取」と「部分的な買取」の2つがあります。前提として隣人と交渉できる関係値が必要となりますが、互いに納得のいく方法で買取の話を進めることが重要です。

当然ですが、隣人に土地を売る気がなければ話は成立しません。土地全ての買取が難しそうであれば、接道義務を果たすためだけに必要な部分の買取を依頼するなど、うまく交渉を進める必要があります。

隣地を借りる

2つ目は、隣地を借りる方法です。

建て替えの際に接道義務を果たしておく必要があるので、建て替えの期間に隣地を借りることで、再建築は可能と認められます。

この際は隣人と賃貸借契約を結び、契約書内では賃貸期間と賃貸料を明記しておきましょう。後でトラブルが起きることを避けるためです。

ただ、こちらも前提として隣人が承諾しなければ実現できない方法になります。無理に交渉を進めると隣人トラブルにつながる恐れがありますので、注意が必要です。

43条但し書き道路の申請を行う

43条但し書きとは、接道要件を満たさない土地に対して、特例を定めたものです。つまり建築基準法上の道路に接していなくても、安全が確保できれば建築できる特例になります。

簡単にまとめると、下記3点が満たされる場合に、接道義務を果たしていなくても、但し書き規定の申請が通ります。

  • 周囲に広い空地を有する
  • 建築審査会の同意を得て許可している
  • 特定行政庁が交通上・安全上・防火及び衛生上支障がないと認める

第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201

ただ、申請をすれば必ずしも許可されるわけではありません。とはいえ方法の1つとして、把握しておくことをおすすめします。

旗竿地の建て替えをする際に気をつけるべきこと

旗竿地を建て替えする際は、主に下記3点について注意が必要です。

解体費用

1つ目の注意点は解体費用です。

旗竿地は通路が狭い影響もあり、解体費用が相場より高くなる傾向にあります。

そもそも解体では、重機やトラックなど車幅が大きい車両が出入りします。そのため出入りができない状態では、解体により発生した廃棄物等を手作業などで運ぶ必要があり普通の解体よりも労力がかかります。

なお解体費用の相場については、構造によって変わりますが、アスベストのない前提で木造の場合、坪単価は3.5〜4.5万円ほどです。旗竿地ではこの相場から割高になりますが、旗竿地の形状によっても変わるため詳細は業者に確認することをおすすめします。

近隣トラブル

2つ目の注意点は、近隣トラブルです。

解体工事では、騒音問題や隣地の壁に傷を付けてしまうといった近隣に関するトラブルが発生しやすい傾向にあります。特に旗竿地では近隣の建物と密接な状態にあるケースも多いので、トラブルは比較的発生しやすいでしょう。

特に騒音は避けて通れない部分のため、事前に近隣住民の方には工事の期間などを伝え、トラブルが発生しないよう対処しておくことが必要です。

業者トラブル

3つ目は業者トラブルです。

解体業者の中には悪質な業者が一定いることも事実で、たとえば明らかに相場以上の価格であったり、価格は安いけども仕事が雑で近隣住居に迷惑がかかる事例があります。

そのため解体業者を選ぶ際は相見積もりなどを活用して、極端に安いもしくは高い業者は避けておくことが無難と言えるでしょう。

旗竿地を建て替えしない場合の活用方法

最後に、旗竿地を建て替えしない場合の土地活用方法について紹介します。

自宅として住み続ける

1つ目は、自宅として住み続ける方法です。

建て替えはできなくても、部分的なリフォーム等は可能です。そのため気になっている箇所だけリフォーム/リノベーションを行い、住み続けることも選択肢に入れても良いでしょう。

賃貸物件として活用する

2つ目は、賃貸物件として活用する方法です。

再建築不可物件である場合は不動産としての価値が低いため、売却自体は難しい可能性が考えられます。ただ賃貸物件としては活用できる可能性はあるため、検討しても良い方法でしょう。

もちろん立地条件などにもよりますが、住み続ける予定がない方にはおすすめの活用方法です。

更地にして駐車場として活用する

3つ目は、更地にして駐車場として活用する方法です。

建て替えができず、長く住み続けることが難しそうであれば建物を解体して駐車場や資材置き場として活用する方法があります。

ただ注意点が2つあります。1つ目は車の出入りが難しければ需要は低い点です。そして2つ目は、建物を解体することで土地の固定資産税がいまの6倍になることです。

2点目の固定資産税について詳しく説明すると、建物がある場合は「住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税が1/6になります。しかし解体することで特例が適用されなくなるので、実質かかる税金が6倍になります。

専門業者に売却・仲介依頼を行う

4つ目は、専門業者に売却・仲介依頼を行う方法です。

旗竿地のような再建築不可物件は、建て替えができない側面から活用方法が難しい場合が多いでしょう。とはいえ、居住を続ける予定がないなら、何かしらの形で活用方法は見つけたいところです。

そこで方法の1つとして、売却があります。ただ旗竿地のような特殊な不動産は、一般的な不動産では取り扱ってもらいにくい傾向があるため、旗竿地のような特殊不動産を専門的に扱う業者に依頼することが一般的です。

なお弊社は、再建築不可物件のような一般的な不動産とは違う、扱いが困難な不動産の取り扱いを熟知しております。

弁護士や税理士など各業界の専門家と連携して、依頼者様にとって最適なご提案をしておりますので、お困りの点がある場合はまずはお気軽にご連絡ください。

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まとめ

旗竿地にある建物は、状態次第では建て替えが困難な状況にあるかもしれません。

もちろん建て替えを可能にする方法はありますが、隣人との交渉が前提になる場合もありますので、必ずしもうまくいくとは断言できないでしょう。

そのため土地活用や売却を含めた、違った対応を検討してみても良いでしょう。特に売却を検討する場合は、旗竿地のような特殊不動産を専門的に扱う業者に依頼することをおすすめします。

なお弊社では、旗竿地のように特殊な土地の扱いを専門としております。特に法律関係や税金関係の悩みもあるかと思いますが、弊社では弁護士や税理士と連携しており、ご依頼者の方に合わせた最適なご提案もしております。

ご相談はいつでも承っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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