はじめて - 訳あり物件の手続き・考え方 2024.03.25

【具体例あり】共有名義の登記費用はいくら?安く抑えるコツとは

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不動産の売買や相続などで所有者が変わる場合、登記をする必要があります。

これは所有者の情報を明らかにし、権利を正当に主張できるようにするためです。

では登記手続きにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。また共有名義不動産の場合は、一般的な手続きと何が違ってくるのでしょうか。

この記事では登記手続きに関する初歩的な部分から、具体的な費用感をくわしく紹介します。

そもそも登記とは?

そもそも、不動産登記を行う意味を再確認しましょう。

登記することで権利の主張ができる

登記を行う目的は「不動産の所有者情報を一般公開して、権利関係を誰でもわかるように示す事」です。

不動産登記は,わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html

上記のように、登記する事で不動産に関する権利を正当に主張できます。逆に登記ができていないとトラブルになった際に権利の主張が認められず裁判で負けてしまうこともあります。

登記は形式的なものにも見えますが、権利関係を明確にしてくれる非常に重要な手続きです。

登記の種類

権利関係に重要な登記ですが、一般的には下記3つの種類を覚えておくと良いでしょう。

  • 所有権移転登記
  • 抵当権設定登記
  • 所有権保存登記

所有権移転登記

所有権移転登記とは、土地や建物の所有権が移ったときに所有権を明確にするために行う登記です。

主に以下3つの場面で必要とされます。

  • 不動産の売買時
  • 不動産の相続時
  • 生前贈与等の贈与時

上記の際に、登記簿に不動産の権利が誰にあるのかを明らかにするために行う必要があります。

所有権移転登記を行わないままでいると元の持ち主が権利を主張できる可能性も出てきますので、注意しなければいけません。

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抵当権設定登記

住宅ローンなどを組み不動産を購入した場合に、この抵当権設定登記が必要です。

そもそも抵当権とは、返済が滞った場合に貸し手が不動産を強制的に売却させ、その代金からお金を回収する権利の事であり、「自宅を担保にお金を借りる」という言い回しは自宅に抵当権を設定したことを意味します。

つまり抵当権設定登記は、「抵当権が付いた物件」を第三者に表示するために行います。

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所有権保存登記

所有権保存登記は、対象不動産の最初の所有者が誰かを示す登記です。そのため新築の建物を購入した時に行う登記になります。

所有権移転登記は既に所有権の登記がされている不動産について、所有権が売主から買主に移ったことを明確にするために行う登記ですので、所有権保存登記とは似ているようで少し違う形式です。

なお新築建物の表題登記は、所有権の取得日から1カ月以内に申請することが義務付けられており、遅れると10万円の過料が科せられると定められています。

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共有持分に関する登記費用

ここからは、実際の登記費用感について説明します。

そもそも登記に関してかかる費用は下記の3つです。

登録免許税

登録免許税とは、登記申請をする際に必要な税金です。

たとえば代表的な登記では、それぞれ下記の税率がかかります。

対象登記税率補足事項
土地所有権移転登記2%令和3年3月31日までの間に登記する場合は1.5%
建物所有権保存登記0.4%令和4年3月31日までの間に登記する場合は0.15%
土地・建物抵当権設定登記0.4%令和4年3月31日までの間に登記する場合は0.1%

必要な登記を把握した上で、それぞれにかかる税金を算出する必要があります。

司法書士報酬

登記事項証明書の権利部に当たる部分について、所有者に代わって申請してもらう場合に「司法書士報酬」が発生します。

費用は事務所によって変わりますが、一般的には5万円〜10万円ほどです。

自分で行うことも可能ですが、専門領域であるため依頼するケースが多いため事前に学んでおく必要はあるでしょう。

土地家屋調査士報酬

夫婦の共有名義で新築を建築するなどのケースの場合、登記事項証明書の表題部に当たる部分について、所有者に代わって申請してもらう場合に「土地家屋調査士報酬」が発生します。

この表題部では不動産の住所はもちろん床面積や構造など、現場の測量を行う場合もあります。

費用は事務所によって変わりますが、一般的には5万円〜10万円ほどです。

なお司法書士への依頼とは違い、土地家屋調査は権利等の影響がないため共有者1人ずつ行う必要はありません。この点の違いは覚えておくと良いでしょう。

購入・相続の場合の登記費用例

購入の場合と相続の場合の、それぞれの登記費用例を見てみましょう。

新築物件を購入した際の登記費用

条件は下記の通りです。

  • 土地の固定資産税評価額:1,000万
  • 建物の固定資産税評価額:1,000万

土地は第三者から購入した

  • 土地の登録免許税:1,000万×1.5%=15万
  • 建物の登録免許税:1,000万×0.15%=1.5万

ここに司法書士報酬と土地家屋調査士報酬が発生すれば、それぞれ5万〜10万ですので、約25万〜45万ほどが登記費用としてかかると言えます。

不動産を相続した際の登記費用

1,000万の価値がある不動産を相続したとしましょう。

なお相続を原因とする所有権移転登記の税率は1000分の4と定められています。

  • 登録免許税:1,000万×0.4%=4万

ここに司法書士土地家屋調査士への報酬が発生すれば、それぞれ5万〜10万ですので、約15万〜35万ほどが登記費用としてかかると言えます。

共有持分登記に関するよくある疑問

最後に、共有持分登記に関してよくある疑問を3つ紹介します。

単独名義の場合と何が違う?

単独名義の場合と、登記の観点では主に下記が違います。

  • 申請書の登記目的欄の記載
  • 共有者全員の協力が必要

登記費用の負担割合はどう決める?

登記費用は、基本的に持分割合に応じて決定されます。

なお登録免許税法で定められていることなので、登記費用をどう負担するか話し合いになった時は持分割合で決定することを覚えておくと良いでしょう。

登記に関する諸費用を抑える方法は?

結論、司法書士などを利用せずに登記作業を進めることです。

ただ専門知識がないと不明な点も多いので、一概にすべての人におすすめできるわけではありません。

身近に司法書士の方などがいれば相談してみるのも良いですが、不安でしたらきちんと依頼する事をおすすめします。

まとめ

登記費用は、主に下記3点で構成されています。

  • 登録免許税
  • 司法書士依頼代
  • 土地家屋調査依頼代

この中の登録免許税に関しては、軽減措置などを活用する事で費用を抑えることが可能になります。ただ登記前に申請が必要なケースもあるので、この点は国税庁のHPも参考に確認しておきましょう。

»参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

この辺りは知っておくことで得する側面もありますので、活用できそうな方法がないか、引き続き調べてみることもおすすめします。