はじめて - 訳あり物件の手続き・考え方 2024.03.25

マンションの持分割合の決め方・計算方法とは【調べ方・変更方法も紹介】

マンションを夫婦などで共同購入する際や複数人でマンションを相続する際には、持分割合の設定が必要です。

しかしどのように割合を決めるべきか、曖昧な状態でもある方も多いでしょう。

適切なに持分割合を決めないとトラブルや税金が発生する場合もありますので、持分割合の決め方から調べ方など全体像を紹介します。

マンションの持分割合の決め方・計算方法とは

マンションの持分割合は「購入」と「相続」によって、決め方および計算方法が変わります。

購入の場合は「出資額」で決まる

夫婦などで購入する場合、持分割合は出資金額の割合をそのまま反映させる形です。

持分割合決め方(計算)例

4,000万円の物件を購入する場合
夫:2,000万出資
妻:2,000万出資

持分割合
夫1/2:妻1/2

4,000万円の物件を購入する場合
夫:3,000万出資
妻:1,000万出資

持分割合
夫3/4:妻1/4

上記のように、頭金およびローンを含めた出資額に合わせて持分割合を設定します。

出資金額と一致させないと...

出資金額と一致させない場合は、贈与税が発生する可能性があります。

たとえば4,000万のマンションを購入する際、夫婦それぞれ2,000万を出しているにも関わらず「夫3/4:妻1/4」の持分割合になっていると、「妻から夫に1,000万の贈与」と認識されます。その結果、贈与税が発生する可能性があるのです。

そのため「出資金額と持分割合は一致させる」と覚えておいて損はないでしょう。

相続の場合は「遺言等」で決まる

親などから相続した場合は、遺言などを含めた下記3つによって持分割合が決まります。

  • 遺言書を基に決定
  • 法定相続分を基に決定
  • 遺産分割協議を基に決定

遺言書がある場合は遺言書に従い、ない場合は法定相続分※を基に決定します。
※法定相続分とは、共同相続人が取得する相続財産の民法によって定められた相続割合のこと。

法定相続分の詳細

法定相続分は次のとおりです。
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。 また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の持分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

<配偶者と子供が相続人である場合> 
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2 

<配偶者と直系尊属が相続人である場合>
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3

<配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合>
配偶者4分の3 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm

基本的には遺言書や法定相続分をベースに持分割合を決定しますが、協議によって分けたい際は「遺産分割協議」によって持分割合などを決定することも可能です。

共有持分の割合は購入時の出資額や相続によって決定されますが、実は割合が大きいことで有利になることも多く、その点もチェックしてみましょう。

補足:共有持分の割合によって出来ることが変わる

結論として、持分割合によって物件の管理や売却などの意見を通しやすくできます。そして物件の管理は下記の3つに分けられます。

  • 保存行為→部屋の修繕など
  • 管理行為→部屋を貸したりする
  • 変更行為→物件を売却するなど

上記の行為に対して、必要な持分割合は下記のとおりです。

  • 保存行為→誰でも可能
  • 管理行為→過半数の同意が必要
  • 変更行為→すべての同意が必要

たとえば「管理行為」として部屋を賃貸物件にしたいと考えても、自分自身の持分割合が1/3しかなく、ほかの方の同意が得られないと実行はできません。

しかし自分自身の持分割合が過半数を超えているならば、単独でその行為を実行することが可能です。

このように持分割合によって、物件に対して実施できる行為が変わります。ですので持分割合を決定する際は、適当に決めないよう注意すべきでしょう。

マンションの持分割合の調べ方について

現状の持分割合を調べる方法をお伝えします。

登記簿で確認するのが一般的

結論として、登記簿で確認することが一般的です。

出典:東京都都市整備局「登記事項証明書(登記簿)の参考例とその見方

上記のように登記簿内の「権利部ー権利者その他の事項」の欄に、持分割合の記載がされております。

登記簿の取得方法

登記簿は近くの法務局で交付申請書を出すことで取得できます。

また現在はオンラインでも申請が可能で、発行手数料が安くなるといったメリットもあります。

»参考:法務局「登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です

固定資産税通知書などでも確認は可能

持分割合について、固定資産税の通知書でも確認することはできます。

しかし固定資産税通知書は共有者のひとり(代表者)にしか送られない仕様になっており、代表者に連絡するなどしないと確認はできないでしょう。

また持分割合が記載されていないケースもありますので、登記簿で確認することが一般的でありおすすめの方法と言えます。

マンションの持分割合でよくある疑問まとめ

ここからはマンションの持分割合の決め方などに関するよくある疑問をまとめます。

夫婦でマンションを購入した時の持分割合の決め方は?

夫婦でお金を出し合い購入した際は、出資金額の比率に合わせて持分割合を決定します。先ほどの例を示します。

持分割合決め方(計算)例

4,000万円の物件を購入する場合
夫:2,000万出資
妻:2,000万出資

持分割合
夫1/2:妻1/2

4,000万円の物件を購入する場合
夫:3,000万出資
妻:1,000万出資

持分割合
夫3/4:妻1/4

上記のように、頭金およびローンを含めた出資額に合わせて持分割合を設定します。

マンションの持分割合は変更できる?

可能です。

たとえば持分割合を出資額の比率と異なる数字で設定している場合、「持分更生登記」を利用することで変更できます。

持分更生登記とは共有者はそのままで、最初から間違いであった登記処理を申請し直す手続きです。

なお手続き処理は基本的に司法書士に依頼する必要がありますので、5万円ほどの費用がかかることを念頭に置いておきましょう。

マンションの共有持分のみを売却することはできる?

可能です。

物件自体を売却するには共有者全員の賛成が必要ですが、自身の持分だけを売却することも実はできます。

ですので共有持分関連でお悩みの方は、共有持分を不動産買取を専門に行う業者に依頼してみるのも良いでしょう。

なお弊社も共有持分の扱いには熟知しており、共有関係の問題解決に努めております。

具体的に、共有持分は法律関係や税金面でわかりづらい観点も多いですが、弊社は弁護士や税理士を代表に各業界のプロと連携できる体制を整えております。

相談は常に承っておりますので、持分売却に関して相談事がある場合や簡易査定を行いたい場合はお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

持分割合の決め方は、基本的に出資金額などで決まります。

ただ割合によって、所有する物件の管理面でトラブルが起きるケースも考えられますので割合の設定は慎重に考えた方が良いでしょう。

なお物件の売却はできなくても、自分自身の共有持分のみを売却することは可能です。またこれについては他の方の同意などは必要ありません。

弊社は共有持分の買取などを専門的に行っている会社ですので、もし共有持分を通じたトラブルに巻き込まれている・トラブルを起こしたくない場合はお気軽にご相談ください。

弁護士や税理士などの士業の専門的な視点から、最適な選択をご提案させていただきます。

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