はじめて - 購入・所有の注意点と税金 2024.10.23

再建築不可物件は固定資産税が安い理由とは?調べ方についても解説

再建築不可物件は築年数が古い場合やそもそも資産価値が低いため、固定資産税が結果的に安価になる場合がほとんどです。

しかし、再建築不可物件の固定資産税の計算方法や固定資産税評価額の調べ方について、わからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、固定資産税の基本的な知識や調べ方、再建築不可物件の固定資産税が安くなる理由について解説します。

再建築不可物件における固定資産税の基本情報

まずは固定資産税について、改めて前提情報を確認しておきましょう。なお、本節では総務省「固定資産税」を参考にしている部分があります。

そもそも固定資産税とは

固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して課される地方税です。税金を納める人は、不動産の所有者になります。

固定資産税は、不動産が所在する自治体に支払われます。そして土地や建物がある市町村が受け取ることになり、その地域の公共サービスの資金源として利用されています。

固定資産税は、年に数回に分けて納付されるのが一般的です。多くの自治体では、年4回(4月・7月・10月・翌年1月)に分けて納税通知書が送られ、各回ごとに納付します。

納付期限は通知書に記載されていますが、期限を過ぎると延滞金が発生する場合もあるので注意が必要です。

固定資産税の基本的な概要ですが、地域によって細かな規定が異なる場合があるので、具体的に疑問や不明点があれば、所在地の市町村の税務課などに問い合わせましょう。

固定資産税の計算方法

固定資産税は、その不動産の価値に基づいて計算されます。

一定の基準に基づいて地方自治体によって行われ、評価額に対して一定の課税標準率を乗じて課税標準額を算出します。

課税標準額に対して、固定資産税の税率(通常は1.4%程度)を乗じて税額を計算します。

つまり、計算式は「固定資産税の税額=課税標準額×1.4%(標準税率)」です。

一方で固定資産税には、特定の条件を満たす場合に税額が軽減される措置があります。代表的な軽減措置には以下のようなものがあります。

軽減措置概要
住宅用地の特例自己の住宅用地について、一定の面積まで評価額が減額されることがあります。
新築住宅の特例新しく建てられた住宅について、一定期間(例えば新築戸建で3年間、新築マンションで5年間など)税額が軽減されることがあります。
災害による減免自然災害により損害を受けた不動産に対して、固定資産税が減免されることがあります。
高齢者等の減免高齢者や障害者など、一定の条件を満たす人が所有する不動産について、税額の軽減が行われる場合があります。

これらの軽減措置は、地域や状況によって異なる場合があるので、具体的な内容や適用条件については、所在地の市町村の税務課などに問い合わせると良いでしょう。

再建築不可物件の固定資産税が安いと言われる理由

再建築不可物件の固定資産税が安いと言われているのは、主に下記2点が背景にあります。

資産価値が低い

再建築不可物件が固定資産税が安い主な理由は、不動産としての価値が低いからです。前述した通り、固定資産税は不動産の評価額に基づいて計算をします。

そこで再建築不可物件は不動産の評価額が低くなることが多いため、結果的に納める固定資産税が安く済みます。

再建築不可物件は、改めて建て替えができないため通常の土地と違って、補正がかかります。その補正は以下の4つです。

補正概要
奥行価格補正土地の奥行きが一定の基準を超えた場合に適用される補正です。
不整形地補正土地が正方形や長方形などの標準的な形状から逸脱している場合に適用される補正です。
間口狭小補正土地の間口(道路に面した部分の幅)が狭い場合に適用される補正です。
奥行長大補正土地の奥行きが特に長い場合に適用される補正です。

宅地の形状に応じて評価額を補正する「補正率」については、国税庁「No.4602 土地家屋の評価」も参考にしてください。

築年数が古い

再建築不可物件は、建て替えができないので築年数が古い物件がほとんどです。築年数が古いと、不動産としての価値も当然落ちるので結果的に固定資産税が安くなります。

再建築不可物件となる要因の一つが、1950年に施行された建築基準法の改正です。度重なる改正によって、再建築不可物件となり築年数が古い物件となってしまいます。

そして、固定資産税の評価額は築年数が古くなるにつれて、経年減価補正率によって引き下げられます。

したがって、再建築不可物件は経年減価補正によって、建物の固定資産税が安くなります。

再建築不可物件に関するよくある疑問

最後に、再建築不可物件に関するよくある疑問について説明します。

固定資産税評価額は、主に下記2点の方法で調べられます。

固定資産課税台帳を確認する

固定資産課税台帳は、土地や建物などの不動産に関する詳細な情報が記載されています。この台帳には、各不動産の「位置・面積・用途・構造・所有者情報・固定資産税の評価額など」が記録されています。

固定資産課税台帳は次に解説している課税明細書のように送付されるわけではないので、役所で受け取らないといけません。

課税明細書を確認する

課税明細書は、土地や建物などに関する税額を算出するための基礎となる情報を記載した公式文書です。固定資産の評価額やそれに基づく税額、物件の所在地や面積、構造などの詳細情報が記載されています。

課税明細書に記載されている主な内容は、以下の通りです。

内容概要
物件の所在地土地や建物がある正確な位置
土地や建物の種類土地の用途区分や建物の種別(住宅、事業用など)
面積や構造土地の面積や建物の床面積、建物の構造(木造、鉄骨造など)
評価額土地や建物の固定資産税評価額
税額算出された固定資産税の金額
所有者の情報土地や建物の所有者の名前や住所

課税明細書は、市区町村から毎年4月から6月にかけて送られてくる納税通知書に同封されています。また、不動産の所有者が変更された場合や、新たに不動産を取得した場合などにも発行されます。

固定資産税が6倍になる場合とは?

実は再建築不可物件でも、固定資産税が6倍ほどになるケースがあります。下記2点の状態では固定資産税は安くなりませんので、注意が必要です。

更地にした場合

再建築不可物件を解体して、更地にした場合は前述した「軽減措置」が適用されなくなるので固定資産税の負担が大きくなってしまいます。その負担が最大で6倍まで増大します。

そのうえ、再建築不可物件を更地にしてしまうと再度新しい建物を建てられず、住宅用地の特例も受けられなくなるので税金が高くなる可能性が高いです。

したがって、更地にする場合は慎重に検討し、専門家にも相談しながら判断しましょう。

特殊空家等に指定された場合

特定空家等とは長期間放置されている空き家の中でも、周囲の住環境や景観を損ない、安全性に問題があると判断された物件です。

増税の適用は自治体による指定後は空き家の所有者に対して改善措置を講じる機会を与えるために、一定の期間を経過した後に始まります。

その増税の適用が最大で6倍まで増大します。特定空家等の状態が改善された場合は、再評価や指定解除の申請が可能です。

増税の適用は地域や物件の状況によって異なるため、詳細な情報は各自の市町村役場などに確認しましょう。

まとめ

再建築不可物件は築年数が古いことや、資産価値が低いことが理由で固定資産税が安価になります。

固定資産税は固定資産課税台帳や、納税通知書に同封されている課税明細書で調べられます。

また、再建築不可物件を更地にする、特殊空家等に指定されている場合は固定資産税が最大で6倍になるので慎重に検討・対処しましょう。

もし、どのような対応をすれば良いのかわからない場合は、不動産の専門家に相談することをおすすめします。

なお弊社は、再建築不可物件のような一般的な不動産とは違う、扱いが困難な不動産の取り扱いを熟知しております。

弁護士や税理士など各業界の専門家と連携して、依頼者様にとって最適なご提案をしておりますので、お困りの点がある場合はまずはお気軽にご連絡ください。

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