はじめて - 購入・所有の注意点と税金 2024.04.08

空き家の固定資産税はいつから6倍に?管理不全空き家の詳細も解説

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2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、「特定空き家」に指定された建物の固定資産税は6倍になる変更がありました。

そして2023年6月に行われた法改正により、「管理不全空き家」に指定された場合でも同様に固定資産税が6倍になる変更が加えられています。

なお2023年12月13日より施行されており、この記事では空き家の税金、特に固定資産税に関する詳細をわかりやすく説明します。

前提:空き家にかかる税金とは

そもそも空き家にかかる税金について、改めて確認しておきましょう。

空き家にかかる税金の種類

空き家にかかる税金は、下記の2つです。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

そして下記のように、それぞれ特例という形で税金が軽減されています。

区分面積固定資産税都市計画税
小規模住宅用地住宅1戸につき200平米まで課税標準×1/6課税標準×1/3
一般住宅用地住宅1戸につき200平米を超えた部分課税標準×1/3課税標準×2/3

上記について、固定資産税の観点で見ると住宅用地の特例(小規模宅地:200㎡未満)であれば、本来支払うべき1/6で問題ないという形になっております。

しかし法改正により「特定空き家」もしくは「管理不全空き家」に指定された場合、特例の適用外となります。

つまり実質負担すべき税金が6倍になるので、空き家の固定資産税が6倍になると話題になっているわけです。

法改正の背景

法改正の背景として、国内の空き家数を減らす狙いがあると言われています。

国土交通省の調査によると、空き家の数はここ20年で448万戸→820万戸と約1.8倍の増加となっており、不動産の活用、適切な管理を推奨するものとされています。

ではどのような空き家が、固定資産税が6倍になる対象になるのでしょうか。次項にて詳細を確認していきましょう。

空き家で固定資産税が6倍になる条件とは

空き家で固定資産税が6倍になるのは、下記4つどれかの条件を満たしているものです。

保安上危険となる恐れがある状態

建物が傾いていたり、屋根が剥がれ落ちているといった老朽化した空き家は、倒壊の危険性があります。つまり周囲の環境に危害を与える恐れがあるため、対象に含まれます。

保安上危険な状態となっている場合は建物の修繕が必要となり、つまるところ補強やリフォームをする必要があるため、現状の状態について把握することが必要です。

衛生上有害となる恐れがある状態

衛生上有害となる恐れがある状態とは、敷地内にゴミが放置されている等を代表に、そのままにしておくと衛生的な観点で周囲に有害をもたらす恐れがある状態を指します。

具体的に、ゴミからの悪臭や害虫が発生している状態だと特定空き家に指定されやすく、自身で清掃が難しければ専門業者にいち早く依頼すべきでしょう。

著しく景観を損なっている状態

著しく景観を損なっている状態とは、ゴミが放置されていたり、窓ガラスが割れている、外壁が剥がれているといった視覚的に景観を損なっている状態を指します。

景観保全に関する決まりは各自自体によって設けられており、その決まりに反している状態であれば、特定空き家に指定される可能性があります。

周辺住民の生活環境を妨げている状態

周辺住民の生活環境を妨げている状態とは、動物が棲みついていたり放火など犯罪の温床になりかねない状態を指します。

近隣住民にとって何かしらの生活環境を妨げている状態が確認されれば特定空き家に指定される可能性があり、ただ所有するだけでなく管理を徹底する必要があります。

補足:「管理不全空き家」の詳細条件は定まっていない

記事の冒頭で固定資産税が6倍になるのは「特定空き家」もしくは「管理不全空き家」に指定された場合とお話ししました。

そして「特定空き家」に該当する条件は先ほどお伝えした4つの内容ですが、「管理不全空き家」に該当する条件は、実は明確には定まっていません。

現状としては、自治体が詳細を定めておりますので、自身の属する自治体に問い合わせるか、ネットで自治体の管理不全空き家に関する基準を検索することをおすすめします。

とはいえ管理不全空き家の定義は、特定空き家に指定される可能性のある空き家のため、基本的には上記でお伝えした4つの内容が主となります。

固定資産税が6倍になる流れ

ここからは、固定資産税が6倍になる流れ、具体的なタイミングについて解説します。

固定資産税が6倍になるタイミング

まず「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると、下記のような流れで行政からの指摘等があります。

  • 指定
  • 助言・指導
  • 勧告
  • 命令
  • 行政代執行

具体的には行政から空き家の改善に関する「助言・指導」が行われます。このタイミングでは、固定資産税は6倍にはなりません。つまり固定資産税が6倍になることを避けるには、助言・指導が入ったタイミングで改善することです。

一方で固定資産税が6倍になるタイミングは、行政から「勧告」を受けた時です。そして勧告を受けた翌年から固定資産税は6倍になりますので、注意が必要です。

また「勧告」「命令」を受けても改善しない場合、「行政代執行」と呼ばれる自治体による強制的な解体が実施されます。なお強制的な解体が行われることに加え、解体費用も請求されますので、助言・指導もしくは勧告を受けたタイミングで適切な対応を取るようにすべきでしょう。

固定資産税が6倍になることを回避する方法

最後に、固定資産税が6倍になることを回避する方法を3つ紹介します。

助言・指導に従う

1つ目は「助言・指導」に従う方法です。

前述の通り、行政から「助言・指導」が入ったタイミングで改善すれば、固定資産税は6倍にはなりません。そのため指導が入った内容に即して、修繕を検討してみましょう。

ただ当然ですが、修繕には一定の費用がかかります。内容にもよりますが老朽化が進行している場合は100万円以上かかる場合もあるでしょう。

そのため行政から「助言・指導」が入ったタイミングで、そもそも空き家を今後活用していくかどうかも含めた検討をすべきです。その点も踏まえて、今後の対応を決めることが最適でしょう。

更地にして売却する

2つ目の方法は、更地にして売却する方法です。

前提として、売却が成立すれば固定資産税をそもそも支払う必要はありません。そのため空き家の活用用途がない場合は売却も手段の1つとして検討して良いでしょう。

ただ特定空き家に指定された物件を購入したいと思う方は、基本的には少ないと考えるのが普通です。そのため建物を解体して更地にしたうえで売却する方法になります。

注意点としては、解体費用がかかることです。物件にもよりますが100万円以上かかるケースがほとんどのため、事前に一定の資金が必要となります。

現状のまま売却する

3つ目の方法は、現状のまま売却する方法です。

ただ前述の通り、特定空き家に指定された状態の物件を購入したい人を見つけることは基本的に困難である可能性が高いでしょう。そのため一般的な不動産業者に依頼しても買取相手が見つからず、空き家の管理を続ける必要が出てきます。

そこでおすすめしたいのが、専門業者への依頼です。特定空き家のような特殊な物件・不動産を専門に扱う業者であれば、売れづらいとされる物件でも独自のルートで売却を早期に成立させられます。

なお弊社も空き家を含む所有者がお困りの不動産を専門として扱う業者です。特に法律関係や税金関係の悩みもあるかと思いますが、弊社では弁護士や税理士と連携しており、ご依頼者の方に合わせた最適なご提案もしております。

そのため、まずはお気軽にご連絡ください。現状の状態にあわせて最適なご提案をさせていただきます。

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まとめ

固定資産税が6倍になる条件は、以下のどれかに該当している場合です。

  • 保安上危険となる恐れがある状態
  • 衛生上有害となる恐れがある状態
  • 著しく景観を損なっている状態
  • 周辺住民の生活環境を妨げている状態

上記に当てはまる場合、行政から指摘がまずは入りますので、その段階で改善するか、売却するか選択する必要があります。

なお2023年12月13日より法改正された背景により、「管理不全空き家」に該当する場合でも固定資産税が6倍となります。管理不全空き家の詳細は自治体によって変わるため、自身が所属する自治体がどのように定義しているか確認してみましょう。

なお売却を考えている場合は、空き家の取り扱い等を専門とした業者に依頼することをおすすめします。

弊社では空き家物件といった所有者が困っている不動産一般的な不動産とは異なる建物の取り扱いに注力しておりますので、お悩みの際はまずはお気軽にご連絡ください。

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