
解決したい - 整理における交渉や訴訟トラブルQA 2024.10.22
共有持分の買取請求をわかりやすく解説!請求された場合の注意点も紹介
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共有名義の不動産は、自由に管理・処分ができません。その背景から他共有者の持分を買い取ることを視野に入れている方も多いでしょう。
しかし持分買取を依頼しても、基本的には断られることがほとんどです。とはいえ条件が満たされていれば「持分買取請求権」を行使することが可能で、強制的に持分買取を実施できます。
この記事では、共有持分の買取請求に関する基本的な情報から詳細を紹介します。
共有持分の買取請求とは
そもそも共有持分の買取請求には、以下2つがあります。
持分買取を提案する方法
持分買取を提案する方法とは、共有者間で持分の売買を行う話を持ちかけるものです。
あくまで提案であるため強制力はなく、共有者から拒否されれば、そこで話自体は終了します。
持分買取請求権を行使する方法
持分買取請求権を行使する方法とは、下記の民法に基づき買取請求を行うものとなります。
(共有物に関する負担)
第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#Mp-At_253
共有者は、持分割合に応じた管理費用を支払う義務があります。しかしその管理費用を一年以上支払わなかった場合、その共有者に償金を支払うことで持分買取が行える仕様です。
なお、持分買取請求権を行使する際は、請求ではないため相手の意思に関わらず持分の取得が可能となります。
そのため、仮に行使される側になった場合は拒否できませんので注意しておきましょう。
持分買取請求権を行使する際の流れ
ここからは、持分買取請求権を行使する際の実際の流れを紹介します。
1.負担した管理費用の請求
まずは、共有者の代わりに負担した管理費用の請求を、該当の共有者に行います。
この請求より一年間、管理費用の返済がなければ、持分買取権行使の条件を満たすためです。
補足として、持分買取権行使の条件である「共有者が一年以内に支払いの義務を履行しないとき」にある一年の開始時期は規定されていません。
そのためメールや書面など、形の残るもので請求を行い、一年の開始時期を定めるのです。
2.持分買取権行使の通知
一年間、支払い請求に対して支払いがなければ、該当の共有者に持分買取権の行使を通知します。
なお通知の方法は特別決まっておらず口頭でも可能ですが、こちらも形として残るメールや書面が適切です。
3.持分買取の価格を決定
持分買取権行使の通知が完了したら、対価(償金)の支払いのため買取価格を決定します。
なお買取価格の計算方法は、不動産全体の相場価格に対して持分割合を掛け合わせたものとなります。例で見てみましょう。
- 不動産全体の相場価格:1,000万
- 共有者の持分割合:1/2
- 買取価格:1,000万×1/2=500万
上記の計算方法は、あくまで目安です。必ずしもこの方法で決定されるわけではありません。なお、これまで肩代わりした分の金額を相殺して金額を算出することも可能です。
4.対価(償金)の支払い
「持分買取の価格を決定」で決まった金額を共有者に支払います。
支払いが完了した時点で持分は取得できましたが、登記上では名義がそのままのため、最後に登記に関する処理を行い終了です。
5.持分移転登記の申請
支払いが完了したら、持分移転登記を利用して共有者の持分が自身に移った内容を申請します。
なお持分移転登記は、1人では行えず共有者それぞれが協力する必要があります。そのため支払いを行わなかった共有者には協力してもらえるよう話をしておきましょう。
仮に登記に協力してくれない場合は、登記手続請求訴訟を起こして裁判所に単独での登記申請を認めてもらう必要があります。
持分買取の提案を行う際の流れ
持分買取請求権を行使したものではなく、買取の提案を行う際の流れも紹介します。
前提:提案のため強制力はない
前提として、持分買取の提案はあくまで話を持ちかけるだけのため、強制力はありません。
そのため、共有者に売却の意思がなく断られたら、その時点で話を進行することはできません。その点は最初に把握しておきましょう。
提案がうまく進んだ際の流れ
提案がうまく進み、買取に関して合意が得られましたら下記の流れで持分移転が進みます。
- 買取価格を決定する
- 共有者間で売買契約を締結する
- 決済を行い持分移転登記を行う
なお売買契約を締結するための書類作成などは、司法書士に相談することをおすすめします。
契約書作成に関する知識に明るくない場合は、司法書士など専門家に依頼を行い、契約面に関してトラブルがないよう進行することが重要です。
提案を断られた際の対処法
提案を断れた際は、「共有物分割請求」を利用して買取を行う方法もあります。
ただ注意点として、共有物分割請求では買取は行えず共有関係の解消だけ行える結果となる場合もあります。というのも共有物分割請求では、下記3つのどれかの方法で共有物を分割するためです。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
現物分割とは、対象の不動産を物理的に切り分けて分割する方法です。ただ建物がある場合は切り分けは不可能なため、土地であることが前提と認識して良いでしょう。
代償分割とは、共有者の1人が不動産を取得する代わりに、他の共有者には持分割合に応じた金額が支払われる分割方法となります。
換価分割とは、不動産全体を競売により売却して、そこで得た金額を共有者間で分け合う分割方法となります。
つまり共有物分割請求を利用した際、持分の買取自体は代償分割のみでしか実現されません。また換価分割となった際は不動産自体を失う恐れがあるため、一概におすすめできる方法とは言えません。
適切な対処法を知りたい場合は、専門家の知見を借りることが1番ですので、専門家に相談することをおすすめします。
なお弊社でも相談は承っております。弊社は共有持分の扱いに熟知しており、また弁護士など各業界の専門家と連携して問題解決に取り組んでいるため、総合的な意見を聞きたい場合はぜひお気軽にご相談ください。
共有持分の買取請求によくある疑問
最後に、共有持分の買取請求によくある疑問を紹介します。
持分買取請求権を行使された場合はどうすべき?
持分買取請求権を行使された場合ですが、以下2点を抑えておきましょう。
- 買取に対する拒否はできない
- 対価(償金)は協議で決まる
まず買取に対する拒否はできません。また買取に関する連絡を無視、放置すると、受け取る対価が低く見積もられる恐れがありますので、協力的に対応しましょう。
なお対価については、協議によって詳細が決まります。そのため買い取られることには変わりありませんが、不利益を被らないよう、内容については詳細を把握した上で進行させることをおすすめします。
共有者から持分買取を提案された場合はどうすべき?
共有者から持分買取を提案された場合ですが、売却の意思がなければその旨を伝えましょう。
持分買取の提案に強制力はありませんので、無理に話を継続する必要はありません。
ただ条件次第では売却しても良いといった場合については、その意思を相手に伝え、協議を進行することをおすすめします。どちらにせよ、持分買取を提案された際は自身の意思を明確に伝えることが重要です。
まとめ
大前提として、共有持分の買取請求には下記の2種類があります。
- 持分買取を提案する方法
- 持分買取請求権を行使する方法
上記のうちの「持分買取請求権を行使する方法」については、強制力がある方法のため、持分買取の実施が可能です。そして行使する際は、下記の流れで対処します。
- 負担した管理費用の請求
- 持分買取権行使の通知
- 持分買取の価格を決定
- 対価(償金)の支払い
- 持分移転登記の申請
持分移転登記の申請を含め、専門知識がないとわかりにくい部分もありますので、実際に持分買取請求をする際は司法書士などの専門家にも相談を行い、適切に処理を進めることをおすすめします。
また共有持分の買取ではなく、売却も1つの手段です。
弊社は共有持分の取り扱いに注力している不動産業者であり、共有名義の売却などで悩んでいる点がありましたらお気軽にご相談ください。
弊社では弁護士や税理士といった各業界の専門家とも連携して、共有持分の問題解決に取り組んでおりますので、専門的な部分で解決策がわからないといった点もあわせて、まずはお気軽にお問い合わせください。
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