解決したい - 訳あり物件のローンの知識 2024.10.23

底地に抵当権が実行されたらどうなる?抵当権を取り消す方法も解説

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抵当権とはそもそも、金融機関などによって不動産に設定される担保のことを指します。

そして抵当権は底地に設定されている場合もあり、仮に抵当権が実行されればその土地に建物を所有している借地人はどのように対処すべきなのでしょうか。

底地と抵当権、借地権の関係性について分かりやすく解説します。

前提:そもそも抵当権とは

そもそも抵当権とは、住宅ローンを組む際に金融機関が購入する土地や建物を担保にする権利のことです。

簡単に説明すると、ローンを返済できない場合に金融機関が土地や建物を差し押さえられる権利となります。

ただ底地購入のために住宅ローンを組むことはなく、底地相続時に、相続税支払いのために不動産担保ローンを利用するといった場合に金融機関から抵当権を設定されるケースがあります。

底地と抵当権について気になる点は、「抵当権が実行された際、借地権を保有する人は立ち退く必要があるのか」という点です。次項にて解説します。

底地に抵当権が実行されたらどうなる?

底地に抵当権が実行された場合については「抵当権が優先される場合」と「借地権が優先される場合」があります。それぞれ、どのような条件であるのか、また実行された後の流れを説明します。

抵当権が優先される場合

抵当権が優先される場合とは、「抵当権の登記が借地権の登記より先に行われていた場合」です。

つまり抵当権が設定されている土地の借地権を保有する場合は、立ち退きのリスクは承知の上という前提として捉えられます。そのため抵当権が実行された場合、該当の借地を更地にして、引き渡す必要があります。

ただ2004年に民法が改正され、抵当権者からの同意を得れば立ち退く必要はない決まりが策定されました。

第387条

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC387%E6%9D%A1

これにより、仮に抵当権が先に設定されている土地の借地権を保有する場合にも、借地権者の権利は守られるようになっております。

とはいえ抵当権者からの同意を得る必要が大前提としてあるため、同意を得るためには弁護士などに相談をすることをおすすめします。

借地権が優先される場合

借地権が優先される場合は、抵当権が後から設定された場合です。

この場合、抵当権者は「借地権付きの土地を抵当権として設定した」ことになるため、仮に抵当権が実行されても土地を明け渡す必要はありません。

また競売にかけられ底地の所有者が変わった際でも、その所有者に借地権を主張することはできるため従来通り土地を使用することが可能です。

以上の点を踏まえると、借地人は「底地の抵当権はどのタイミングで設定されたか」を確認しておくべきです。仮に借地権よりも先に設定されていた場合は、弁護士に相談を行い抵当権者から民法387条に関する同意が得られるか確認することをおすすめします。

底地に設定された抵当権を取り消す方法

ここからは、底地に設定された抵当権に関する話を紹介します。地主の方は、忘れずに抵当権取り消しを行いましょう。

抵当権抹消が必要なケース

そもそも抵当権は下記の際に取り消しが必要です。

  • ローンを完済した時
  • 不動産を売却する時
  • 新規融資を受ける時

なおローンを完済しても抵当権自体は抹消されていますが、登記上では抹消されていないため「抵当権抹消登記」を行う必要があります。

この抵当権抹消登記について、詳しく紹介します。

抵当権を取り消す流れ

抵当権を取り消す流れは下記のとおりです。

必要書類を集める

まずは下記の書類を集めます。

  • 抵当権解除証書
  • 金融機関からの委任状
  • 登記済権利証または登記識別情報通知

ローンを完済すると上記を含む書類が送付されるので、まずはこちらが手元にあるかを確認しましょう。

なお登記済権利証または登記識別情報通知について、基本的に再発行はできないため紛失しないよう大切に保管しておく必要があります。

登記申請書を作成する

登記申請書では、下記の項目を記載します。

  • 登記の目的
  • 原因
  • 抹消すべき登記
  • 権利者、義務者
  • 添付情報
  • 申請日と申請人兼義務者代理人
  • 登録免許税
  • 不動産の表示

法務局が記載例も公開しているため、下記リンクも参考に作成を行いましょう。

»参考例:法務局「登記申請書

法務局に提出する

記入が完了したら、法務局に提出を行います。提出方法は直接、郵送、オンラインでの対応が可能です。

なお、不備がある場合は法務局から補正依頼されるため、登記周りの知識に自信がない方は司法書士に依頼することも視野に入れても良いでしょう。

底地に設定された抵当権に関するよくある疑問

最後に、底地に設定された抵当権に関するよくある疑問を紹介します。

底地に抵当権が設定される場合とは?

そもそも底地に抵当権を設定するのは、主に下記の2パターンです。

  • 金融機関が設定する
  • 国税局が設定する

金融機関が設定する場合としては、銀行から借入をした時の共同担保や相続税支払いのためにお金を借り入れたケースが当てはまります。

国税局が設定する場合としては、相続税が高額で一括で納めきれず延納となった際に設定されるケースがあります。

どちらにせよ相続税絡みにより設定されることがほとんどですが、どのような背景で抵当権が設定されているかは把握しておきましょう。

抵当権を取り消さないとどうなる?

抵当権抹消登記を行わず放置しておくと、不動産の売却などが行えないデメリットが生じます。

また放置しすぎると、必要書類を集める際に多くの手間が発生してしまうリスクもあります。要因としては、銀行から渡される書類には有効期限があったり、銀行が合併してしまうと特殊な手続きが必要となるからです。

デメリットが多いので、抵当権抹消登記は早めに実施しておきましょう。

そして登記関連で知識に不安を感じる方は、司法書士への依頼も視野に入れ、早めに対象することをおすすめします。

まとめ

そもそも抵当権とは、ローンを返済できない場合に金融機関が土地や建物を差し押さえられる権利のことです。底地の場合は地主と借地人の2人が存在しますが、抵当権と借地権どちらが先に設定されているかが問題の肝となります。

そのため底地の抵当権問題で悩んでいる場合は、まずは抵当権設定の背景と設定された時期を改めて確認を行い必要な対処を取りましょう。また抵当権の抹消登記がまだの場合は早めに対応しておきましょう。書類集めなどが大変に思えますが、司法書士の力も借りて円滑に進めることをおすすめします。

なお底地の売却は、一般的な不動産業者では取り扱ってくれない傾向があります。そのため底地について熟知している不動産業者に依頼することをおすすめします。

弊社も底地については熟知しており、数々の問題解決に注力しております。また権利関係が複雑なものに対しても、弊社では弁護士や税理士などと協力して取り組みを行っているため、ご依頼者に合わせた最適な対策方法のご提案が可能です。

相談自体は常に承っておりますので、所有する底地で悩んでいる部分がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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