
解決したい - 借地にまつわるトラブル 2024.10.23
借地人に立ち退きを求めるには正当事由が必要?立ち退き料の相場とは?
底地のうえに建物を建てて利用できるのは借地権を持つ借地人のみです。しかし地主自身が住む家を建てたいといった理由で、借地人の立ち退き要求を考える方もいるでしょう。
ただ基本的には、自由に借地人に立ち退きをしてもらうことはできません。正当な理由がないと立ち退き要求は認められないためです。
ケースとしては立ち退きをしてもらえる場合もあるため、借地から借地人の立ち退き要求に関する基本情報から詳細を紹介します。
この記事の目次
借地からの立ち退きを求めるのは正当事由が必要?
基本的に借地からの立ち退きを求めるには、正当事由が必要となります。具体的には下記のような項目です。
利用の必要性
まずは、そもそも借地から立ち退いてもらう必要があるのか、という点です。
たとえば土地周辺で再開発が行われ、立ち退きが必要であるといったものです。借地人が該当の建物に居住していないといった条件が加われば、正当性が認められやすくなります。
土地の利用状況
土地がどのように利用されているか、周辺の土地と比べて適切に使われているか、という項目です。
たとえば周辺の土地では高層ビルばかりが立ち並んでいるにもかかわらず、平屋が建っており十分に活用されていないといったものです。
上記の状況に加え、立ち退き後の土地活用について具体的な計画があれば、正当性が認められやすくなります。
借地に関する従前の経過
これまで地代が継続的に支払われてきたか、借地契約更新の際に更新料が支払われたかといった項目です。
たとえば地代の支払いが過去に滞納ていたらい、現在も滞納をしてたりすると立退き要求の正当性が認められ安くなります。地代の支払いなどが漏れなく行われている場合については、この項目において地主側の正当性は認められないといって良いでしょう。
また、地代が近隣の地代に比べて安い、用途違反があった場合も立ち退き要求の正当性が認められやすくなります。
立ち退き料支払いの有無
立ち退き要求にあたり、妥当な立ち退き料支払いの意思を明示しているか、といった項目です。
とはいえ、高額な立ち退き料を提示すれば認められるわけではありません。そもそも地主に土地を使用する明確な必要性があるのかが大前提であり、それに加え、妥当な立ち退き料が提示されているのかといった補足的な項目とも言えます。
借地の立ち退きを求める際の立ち退き料の相場とは?
前提として、立ち退き料に明確な相場はありません。
というのも立ち退き料は、正当事由が弱い場合は高額にすることで、その正当性を補完するといった側面を持つためです。
そのため正当事由の内容によって、金額帯は大きく変わると言えます。とはいえ立ち退き料を考える際は、まずは以下2点で考え方が分岐します。
住居用途における立ち退き料の相場
住居用途における立ち退き料ですが、あくまで1つの目安の数字として「借地権価格」を基盤に協議する場合があります。
なお借地権価格とは、更地価格に借地権割合を掛け合わせたものです。
ここで求めた借地権価格と、正当事由の強弱を基に立ち退き料を決定します。また立ち退き料には下記も含まれます。
- 引っ越し費用
- 仮住まいの費用
- 礼金などの諸費用
上記のような必要な費用も含め、双方で協議を行い最終決定します。なお立ち退き料の決定方法には明確な決まりがあるわけではないため、双方が納得いくまで協議を行うことが重要です。
事業用途における立ち退き料の相場
事業用途における場合は、住居用途で考えた計算方法に追加して、営業補償に関する項目も考慮する必要があります。具体的には下記です。
- 営業休止中の想定利益補償
- 移転後の一定の売り上げ補償
- 移転に伴う移転費用・内装費用
上記の項目についても納得がいくまで協議を行い、後にトラブルにならないよう配慮することが大切です。
正当事由がなくても立ち退きを求められるケースとは
正当事由がないと立ち退き要求は難しいですが、下記の場合であれば正当事由がなくとも立ち退きを求めることが可能です。
定期借地契約である
定期借地契約とは、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はない契約です。
この場合、期間が満了すれば立ち退きを要求できます。また定められた期間で借地関係が終了することを明示しているため、立ち退き料を支払う必要もありません。
そのため、自身が所有する底地は、借地人とどういった契約を結んでいるか把握しておきましょう。
建物以外の用途(駐車場など)で使用している
該当の土地を、建物以外の用途で使用している場合は立ち退きの要求が可能です。
というのも、借地借家法では「建物の所有を目的」とする土地賃貸借等に適用されるため、建物所有を目的としない土地賃貸借には適用されないのが原則であるためです。
立ち退きを求めることが難しいケースとは
一方で以下のようなケースでは、仮に正当事由があっても立ち退き要求が通らない可能性があります。
借地利用を継続する必要性がある
借地人側が、その土地を継続して利用する必要性がある時は、立ち退き要求は通らない場合があります。
よくある例は、借地で事業を営んでおり、その土地でないと存続が難しいといった背景がある場合です。
地主側の必要性にもよりますが、借地利用を継続する必要性のほうが高いと判断されれば、立ち退き要求は認められないでしょう。
転居が困難な事情がある
立ち退き要求を求めた時点で、借地人に転居が困難な事情があれば、要求が通らない場合があります。
というのも上記の場合、借地人が被る不利益が大きいと判断されるためです。借地人の生活が脅かされる恐れがある場合は、立ち退き要求は通らないと考えても良いでしょう。
借地からの立ち退き要求に関するよくある疑問
最後に、借地からの立ち退き要求に関するよくある疑問を2点紹介します。
立ち退き料が高額になるケースは?
立ち退き料が高額になるケースは、以下のような場合です。
借地人が土地を利用する必要性がある
借地人が土地を利用する必要性がある場合は、借地人が被る不利益を、立ち退き料を高額にすることで解決した事例があります。
そのため借地人が土地を利用する必要性がありながらも、立ち退きを要求する際は立ち退き料が高額になる傾向があります。
借地人が更新料を支払っている
借地人が更新料を支払っている場合、正当事由が弱くなるため、その分立ち退き料が高額になる傾向があります。
立ち退き要求後に早期で立ち退く
立ち退き要求後に、早期で立ち退く代わりに立ち退き料を高くしてもらえるよう交渉される場合があります。
このように、立ち退き要求ではお金が絡む話し合いが行われるため、交渉の際にトラブルにならないよう、弁護士に相談することも1つの手段でしょう。
弊社ではそういった土地活用に関する問題解決のご相談も承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。もちろん相談は無料です。
立ち退きが決まった際の注意点は?
立ち退きに関して合意に至った際は、合意書面を作成しておきましょう。
合意した内容を書面化することで、後に内容面でのトラブルを避けるためです。なお、書類には主に下記を記載します。
- 立ち退き日
- 立ち退き方法
- 立退料の支払い時期
- 敷金、保証金等の返還方法
- 地代が前払いされている場合の返還方法
上記の内容を中心に、決定事項は書類にまとめて、内容に問題はないか双方で確認することをおすすめします。
まとめ
借地からの立ち退きを求める際は、正当事由が必要となります。具体的には下記のような項目です。
- 利用の必要性
- 土地の利用状況
- 借地に関する従前の経過
- 立ち退き料支払いの有無
基本的には、「地主が土地を利用する必要性」があるかどうかが主な確認点となります。
そのため明確な理由がなく立ち退きを求めるのは、難しいと考えたほうが良いでしょう。一方で明確な理由がある場合は、その内容を適切に伝え、借地人と話を円滑に進めることが重要です。
また立ち退き料については、原則協議によって決まります。決まった計算方法などはないため、お互いに後に後悔することがないよう、納得するまで協議を行うことをおすすめします。
なお弊社は底地の扱いについて熟知しており、数々の問題解決に注力しております。また権利関係が複雑なものに対しても、弊社では弁護士や税理士などと協力して取り組みを行っているため、ご依頼者に合わせた最適な対策方法のご提案が可能です。
相談自体は常に承っておりますので、所有する底地で悩んでいる部分がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
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