解決したい - 財産分与や相続税にまつわるトラブル 2024.03.25

相続登記申請書とは?書き方や綴じ方・必要書類一覧を紹介

不動産を相続する際は相続登記を行う必要があり、その登記作業に「相続登記申請書」を用意しなければいけません。

また相続登記申請書以外にも用意する書類は多く、不備があれば再度提出する必要もあるためあらかじめ概要を知っておくことが大切です。

この記事では相続登記申請書の概要や書き方、必要な関連書類一覧を紹介します。全体感から詳細まで知りたい方はぜひ参考にしてください。

相続登記申請書とは

そもそも相続登記申請書とは、不動産の名義人が亡くなった際に相続人に名義を移すための申請書です。

相続登記を行わないとお亡くなりになられた被相続人が、記録上では不動産の所有者となるためすぐに不動産の売却ができなかったり、権利関係でトラブルになるケースがあります。

なお「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」が決定されたため、2024年4月から相続登記は義務化されます。

ですので相続登記については、必ず把握しておく必要があります。

相続登記申請書のダウンロード場所

実は、相続登記申請書は決まった用紙があるわけではありません。

後に紹介する必要項目を記載できていれば、特別問題はないため自分で作成することも可能です。自分で作成する場合、「法務局ホームページ」にて様式と記載例が掲載されていますので、そちらを参考に作成することをおすすめします。

相続申請書の書き方について

ここからは、相続登記申請書に必要な記載項目について紹介します。

登記の目的

登記の目的には、下記2つのどちらかを記載します。

  • 所有権移転
  • 持分全部移転

被相続人の所有状態によって変わるのですが、単独名義で所有していた場合は「所有権移転」と記載します。

しかし共有名義で、その不動産の所有権を他にも所有している人がいる場合は「〇〇持分全部移転」と記載し、被相続人が所有していた持分のみを移転登記する形です。

申請に誤りがないよう、どのような形式で不動産を所有していたかは確認しておきましょう。

原因

原因の部分には亡くなった日付を記載し、その後ろに「相続」と記載します。

また被相続人が亡くなった日付は、死体検案書もしくは死亡診断書に記載されている日付にする必要があります。

なお死亡診断書は被相続人が亡くなってから7日以内に役場に出す必要があり、返却はされません。ですのでコピーを取っておくこともおすすめです。

相続人

つづいて相続人と被相続人の名前を記載します。
そして相続人については、住所と電話番号も書く項目があります。

なお複数人で相続する場合は、それぞれの名前と持分割合も記載しましょう。

それぞれ記載できたら、相続人の名前の横に印鑑を押します。この印鑑については、認印でも問題ありません。

添付情報

添付情報の欄には、「登記原因証明情報」「住所証明情報」と記載します。

この欄では相続登記申請書以外に添付する他の資料を記載するだけの項目ですので、これ以上の記載は不要です。

登記識別情報の通知希望の有無

そもそも登記識別情報とは、不動産の所有者であることを証明する番号および書類を意味しております。

基本的には「希望する」を選択しておきましょう。

法務局が用意する様式には「登記識別情報の通知を希望しません。」というチェック項目があり、ここにチェックを入れると登記識別情報に関する書類が発行されませんので注意が必要です。

なお登記識別情報の番号は不動産の売却などにも必要なため、しっかりと保存しておきましょう。

申請日・申請する法務局

こちらは申請する日付(申請書を提出する日時)と法務局を記載します。

なお法務局については、相続する不動産の所在地を管轄する法務局を記載します。管轄する法務局が分からない場合は、「法務局ホームページ」から検索できますので活用しましょう。

課税価格・登録免許税

課税価格については、固定資産評価証明書もしくは課税明細書に記載されている固定資産評価額を記載しましょう。
なお、1,000円未満を切り捨てた数字です。

また登録免許税については、課税価格×0.004(0.4%)をした数値を記載します。

たとえば課税価格が2,000万だった場合、0.004をかけた8万円が登録免許税となります。なお100円未満は切り捨てです。

不動産の表示

不動産の表示には、登記事項証明書の記載どおりに下記4点を記載します。

  • 住所
  • 地番
  • 地目
  • 地積

また土地だけでなく建物を相続する場合は、下記5点も記載する必要があります。

  • 所在
  • 種類
  • 構造
  • 床面積
  • 家屋番号

相続申請書作成に必要な書類

ここからは登記申請書の作成に必要な書類6点を紹介します。

被相続人の戸籍謄本

まず必要なのは、被相続人の戸籍謄本です。

被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本を集める必要があり、転籍した際などはまた新たに作成されるためそれぞれの市区町村役場でもらう必要があります。

ちなみにこれは、被相続人の相続者を確定させるためでもあります。そのため出生時から死亡時までの戸籍謄本を集め、認識に齟齬がないか確認する必要があります。

被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

住民票の除票とは、被相続人が居住していた市区町村の役場で受け取れる書類です。

死亡などで住民登録が抹消されたことを記載している書類であり、本当に死亡しているかを明確にする意味もあります。

なお住民票の除票は、基本的に本人しか取得できません。しかし明確な理由があれば受け取り可能ですので、相続登記のために受け取りが必要ですと伝えれば発行してもらえます。

相続人全員の現在戸籍等

不動産を相続する人の戸籍謄本も必要です。

相続時に相続人との関係性を明示化するために必要で、相続人と被相続人の関係、相続人がいることの証明のために利用するので、現在の戸籍だけで問題ありません。

相続人の住民票および印鑑証明書

同じく住民票と印鑑証明書も必要となります。

住民票については被相続人と相続人のそれぞれが必要で、登記上の人物と被相続人が同一人物であるかどうかなどを確認するために使用します。
相続人についても、住所確認のために必要です。

固定資産評価証明書

登録免許税支払いのために、固定資産評価証明書も必要です。

そもそも登録免許税とは、固定資産評価額×0.4%で算出されるため、固定資産評価額を記した固定資産評価証明書もしくは課税明細書が必要となります。

登記事項証明書

相続登記を行う際は、対象不動産の正確な情報が必要となります。

そのため不動産の地番などをまとめた、登記事項証明書が必要です。

なお登記事項証明書については法務局で請求することもできますが、オンライン上で請求することも可能です。

相続書類の綴じ方について

相続書類については、登記申請書を1番上に下記の順番に並べることが一般的です。

  • 登記申請書
  • 収入印紙貼付台紙
  • 相続関係説明図
  • 原本の返却を受ける書類のコピー
  • 原本の返却を受ける書類の原本

*原本の返却を受ける書類とは、遺産分割協議書や印鑑証明書、固定資産評価証明書、被相続人の住民票の除票、不動産を取得した人の住民票などを指します。

最後に、ここまでにまとめた書類全てをホチキスで1つに綴じて契印を押して終了です。
なお原本返却される書類についてはホチキスで綴じる場合と綴じない場合など、各管轄法務局によって細かな決まりがあることがあります。詳細については管轄の法務局の方に対応を聞いてみるのが良いでしょう。

相続登記申請の提出方法

最後に、相続登記申請書の提出方法3つを紹介します。

郵送

郵送では、相続登記申請書と添付書類を送付します。

そして送付する際は、届いたかどうかを確認できる書留かレターパックを使用しましょう。普通郵便では追跡できないため、この点は注意が必要です。

ただ不備があった際は法務局に取りに行く必要があるため、送付前は不備がないか再度確認することをおすすめします。

窓口

窓口提出は、管轄の法務局に直接渡す方法です。

窓口提出ですと担当者と書類に不足はないか、なども確認して行えますので、不安な方は窓口提出がおすすめと言えます。

しかし法務局は平日のみしか受付対応しておりませんので、時間的な都合を合わせる必要はあります。

オンライン

オンライン上でも、登記申請を行うことができます。

具体的には登記・供託オンライン申請システムのホームページで申請者情報を登録することで申請ができるのですが、添付書類などは窓口か郵送で提出する必要があります。

そのため完全オンラインでの提出はできません。
またオンライン申請には「登記ねっと」という専用のソフトが必要であったり、どちらかというと司法書士が利用する方法でもありますので、周辺知識がない方は窓口か郵送で提出することが一般的になりそうです。

まとめ

相続の際に必要な相続登記申請書には、主に下記の項目を記載する必要があります。

  • 登記の目的
  • 原因
  • 相続人
  • 添付情報
  • 登記識別情報の通知希望の有無
  • 申請日、申請する法務局
  • 課税価格、登録免許税
  • 不動産の表示

そして作成した相続登記申請書に加え、下記の書類が必要となります。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の現在戸籍等
  • 相続人の住所証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記事項証明書

揃える書類が多く大変ですが、法改正により2024年4月からは義務化されますので、一連の流れは把握しておきましょう。

それでも作成が難しいと感じた場合は専門家に依頼するのも1つの手段です。

なお相続後に売却を考えている場合は、弁護士や税理士と連携している買取業者に依頼するのも良いでしょう。

弊社では共有名義の不動産を中心に、弁護士や税理士など各業界のプロと連携して相談者様の悩み解決に注力しております。

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