売りたい - 売れない物件と解決策 2024.04.08
旗竿地が売れない理由とは?売却前に避けるべき注意点も解説
インターネットや周囲の声で「旗竿地は売るのが難しい」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際、旗竿地はその土地の特性上、売るのが難しいのは事実です。
この記事では旗竿地が売れない理由や、需要があって売れやすい旗竿地の特徴、売却時の注意点を中心に解説します。
旗竿地が売れないと言われる理由
旗竿地が売れないと言われる理由は、主に以下の5つがあります。
再建築不可の場合がある
旗竿地は再建築不可物件になる可能性があります。というのも、旗竿地は間口(道路に接している土地)が細いためです。
再建築不可物件とは、建築基準法の接道義務を果たしていないため建築許可がおりず、建て替えや増改築ができない物件を指します。
建築基準法の第四十二条と第四十三条において、接道義務は下記のように定められています。
この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル以上のものをいう。
(中略)
建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。
つまり、建築基準法で定められた幅員4メートル以上の道路に、敷地が2メートル以上接していないといけません。
再建築不可物件の場合では建て替えができず利用用途が限られるため、所有する建物が再建築不可物件であるかはまず確認しておくべき項目です。
採光や通風が悪い
旗竿地は周囲を家に囲まれている場合が多いため、採光や通風が悪くなる傾向にあります。
採光や通風が悪いと「洗濯物が乾きにくい」「湿気がこもる」「日中も電気をつける必要がある」といったデメリットがあり、結果として建物としての価値が下がる傾向にあるでしょう。
整形地と比べて生活に支障をきたすことが多く、内見のときも部屋が暗く見えてしまうので、旗竿地は売却するのが難しいとされています。
銀行の担保評価が低い
旗竿地は整形地と比較して銀行の担保評価が低いので、買い手が建物を建て替える場合に住宅ローンを組めない可能性があります。
不動産における担保評価とは、返済が滞った場合に金融機関がその物件を売却して、どれだけ債権を回収できるかを評価した金額です。
旗竿地は、再建築不可物件になる可能性がある点や、採光や通風が悪く次の買い手が見つけにくい点から担保評価額が低くなる傾向があります。
したがって、買い手が十分な融資を受けられないため、売主は必然的に土地の売却額が低くなるケースがあります。
建て替え等に費用が多くかかる
旗竿地は解体・建築費用やインフラ整備費用が整形地に比べて、高くなる傾向があります。
なぜなら、旗竿地は間口が狭く建物を建設または解体する際に大型の重機が利用できずに効率が悪くなるためです。
加えて、旗竿地は本管が通っている前面道路から建築物まで距離がある遠いため、電気・水道工事などのインフラを整備する工事では、整形地と比べて多くの資材が必要となり手間もかかります。
したがって、建て替え費用が整形地と比べて割高になり土地を活用しにくくなるため、旗竿地は買い手を見つけるのが難しいです。
通路が他人の私道である場合がある
旗竿地の通路部分が他人の私道である場合は、売却が難しいでしょう。というのも、接道義務を満たしていない再建築不可物件となるからです。
通路部分のみが私道になる原因は、主に所有者の登記忘れです。たとえば、親から土地を相続した場合に、路地状のみ名義を変更し忘れるパターンがあります。
このように路地状のみ私道となっている場合は再建築不可物件となり、建物を新たに建てることができず土地としての需要が少ないので、売れにくい傾向があります。
売れやすい旗竿地と売れにくい旗竿地の特徴
旗竿地だからとはいえ、全ての土地が売れにくいわけではありません。売れやすい旗竿地と売れにくい旗竿地の特徴を紹介しますので、参考にしてください。
売れやすい旗竿地の特徴
売れやすい旗竿地の特徴は主に以下の通りです。
- 間口が広い
- 重機が奥まで進入できる
- 日当たり・風当たりが良い
間口が広く建て替えなどの工事で使用する重機の出入りが容易な場合は、旗竿地でも売れやすいです。また、日当たりや風当たりがよく、日常生活にも支障がない旗竿地も同様です。
つまり、旗竿地のデメリットを特に感じられない場合は、買い手が割安で購入できると考えるので売却しやすい傾向があります。
売れにくい旗竿地の特徴
売れにくい旗竿地の特徴は、冒頭で説明した内容のとおりで、主に以下です。
- 再建築不可である
- 採光や通風が悪い
- 間口が接している道路が私道である
旗竿地としてのデメリットを払拭できていない場合は、土地を利用するのが難しいので買取相手を見つけるには時間がかかるでしょう。
要するに旗竿地が再建築不可物件となっており、建物の増改築や新たに建設できない場合は売却しにくい傾向があります。
それに加えて再建築不可物件ではなくても、日当たり・風当たりが悪く日常生活に支障が出る旗竿地は買い手を見つけるのが難しいです。
他にも各自治体が旗竿地の路地状の幅や長さを独自に設けている規定を満たしていない場合も、売却することが難しくなります。
例えば、東京都の「東京都建築安全条例」では以下のように規定が定められており、建築物の建造に制限が設けられています。
築物の敷地が路地状部分のみによつて道路(都市計画区域外の建築物の敷地にあつては、道とする。以下同じ。)に接する場合には、その敷地の路地状部分の幅員は、路地状部分の長さに応じて、次の表に掲げる幅員以上としなければならない。
敷地の路地状部分の長さ | 幅員 |
---|---|
20メートル以下のもの | 2メートル |
20メートルを超えるもの | 4メートル |
前条第一項に規定する敷地で路地状部分の幅員が四メートル未満のものには、階数(主要構造部が耐火構造の地階を除く。第七条において同じ。)が三(耐火建築物、準耐火建築物又は壁、柱、床その他の建築物の部分及び外壁開口部設備(令第百三十六条の二第一号イの外壁開口部設備をいう。以下同じ。)について知事が定めた構造方法を用いる建築物の場合は、四)以上の建築物を建築してはならない。
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00001306.html
上記のように、自治体によって独自の規定を設けている場合もあります。ご自身の自治体で同様な規定がないか確認しておくのも良いでしょう。
旗竿地を売却する際の注意点
旗竿地を売却する際は、以下2点について把握しておくことをおすすめします。
建物は決して解体しない
建物を解体してはいけない理由は次の2つです。
- 再建築不可物件の場合は土地の活用が困難になる
- 更地にすると固定資産税が最大6倍になる
旗竿地が接道義務を満たしていない再建築物件の場合、建物を解体すると再度建物を建てることができません。
そのため、土地の活用方法が限られてしまうので、安易に建物は解体しないようにしましょう。
また、更地になると住宅用地の特例という特例措置が適用されないため、固定資産税が最大6倍、都市計画税も約3倍になります。
前提として、住宅用の宅地では固定資産税および都市計画税は特例により税率が抑えられています。以下は大阪府の「住宅用地の課税標準の特例措置」についてです。
小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)の場合、住宅用地の特例率は以下のように定められています。
- 固定資産税:6分の1
- 都市計画税:3分の1
一般住宅用地(200平方メートル以下を超える部分)の場合は以下です。
- 固定資産税:6分の1
- 都市計画税:3分の2
もし土地が売れなかった場合、特別処置を受けられず増額された固定資産税と都市計画税を負担し続けないといけません。
したがって、旗竿地の建物は解体せずにそのまま売却しましょう。
専門の不動産業者を利用する
旗竿地のような特殊な不動産は、一般的な不動産では取り扱ってもらいにくい傾向があるため、旗竿地のような特殊不動産を専門的に扱う業者に依頼することが一般的です。
なお弊社は、再建築不可物件のような一般的な不動産とは違う、扱いが困難な不動産の取り扱いを熟知しております。
弁護士や税理士など各業界の専門家と連携して、依頼者様にとって最適なご提案をしておりますので、お困りの点がある場合はまずはお気軽にご連絡ください。
旗竿地を活用する方法
最後に、旗竿地を活用する方法を紹介します。
更地にして駐車場にする
旗竿地の路地状部分の幅員が2.5m以上あり車両が安全に通れる場合は、駐車場として活用できます。
駐車場として活用する場合、2通りの方式があります。
- 施設貸し
- 土地貸し
「施設貸し」は地主がアスファルト舗装をおこなってから、運営会社に貸す方式です。初期費用はかかりますが、賃料が高くなるメリットがあります。
「土地貸し」はアスファルト舗装をせずに、そのまま運営会社に貸し出す方式です。施設貸しに比べて賃料は安くなりますが、初期費用をかけずに活用できます。
住宅街であれば住人が常に使用できるように月極、商業施設が多い場所や都会であれば時間制のパーキングがおすすめです。
賃貸住宅として貸し出しを行う
旗竿地でも再建築不可物件に該当しない場合は、一戸建てを建設して貸し出すことができます。
特に駅から離れている場合でも、一戸建てはファミリー層に需要があるので、借主が現れるケースが多いです。
しかし、一戸建ての賃貸はアパートと比べると需要が低くなるので、旗竿地の土地活用としておこなっている方は少ないです。
その点、一戸建ての賃貸は「競合が少ない」というのは、大きなメリットとなります。
隣地を買い取り不動産価値を高める
隣地を買い取って整形地にすると、不動産としての価値を高めることができます。
隣人がいる場合は、引越しや相続のタイミングで買い取ることができるかもしれません。
再建築不可物件の旗竿地の場合は、再建築可能な整形地になるので資産価値が大きく上がり、売却しなくても新たに土地を活用できるようになります。
まとめ
旗竿地は接道義務を満たしていないと、再建築不可物件になるので土地の活用が難しく売れにくいです。
再建築不可物件は建物を解体すると再建築できないので、更地にせずにそのまま売却しましょう。
また、再建築不可物件の場合は、隣地を買い取って整形地とし、資産価値を上げて売却するのも一つの手です。
一方で接道義務を満たしており、採光や通風がよかったり、間口が広いと旗竿地であっても売れる可能性は高く、売却だけではなく土地を活用することもできます。
もし、旗竿地の売却を考えている方は、一度専門の不動産業者に相談してみましょう。
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