売りたい - 売却の流れってどんなの? 2024.10.21

底地と借地権の同時売却とは?メリット・デメリットや実際の流れを紹介!

底地と借地権は、それぞれ売却がむずかしい不動産の1つです。その主な理由は、権利関係が複雑で自由な不動産利用ができないという印象があるためです。

そのため、不動産利用が自由な状態になれば、売却はスムーズに進むでしょう。その方法として「底地と借地権の同時売却」があります。

この記事では同時売却の概要からメリットとデメリット、実際の流れや注意点を細かく説明します。

底地と借地権の同時売却とは

底地と借地権の同時売却とは、底地と借地権をセットにして第三者に売却する行為を意味します。

本来なら底地と借地権の所有者は別々で自由な不動産利用ができないため需要は低いですが、底地と借地権がセットであれば1つの不動産として所有でき、自由な不動産利用ができるようになるので需要は高くなります。

もちろん、同時売却には地主と借主の互いの同意が必要なため、実現するまでに時間はかかってしまうでしょう。

なおどちらかが反対すれば実現はできませんので、必ず行える行為ではありません。

底地と借地権の同時売却のメリット・デメリット

底地と借地権の同時売却のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

同時売却のメリット

メリットは、買い手が見つかりやすい、一般的な市場価格で売却できるという2点です。

繰り返しですが底地と借地権それぞれ単体の売却は、権利関係の複雑さから需要は低い状態です。そのため買い手は見つかりづらく、それに伴い売却額も低くなる傾向があります。

しかし底地と借地権を同時売却する場合、買い手側からすると1つの不動産として所有できるため条件次第では比較的はやく買い手が見つかるでしょう。

また借地権を保有する人は、本来売却の際に地主に承諾料を支払う必要がありますが、同時売却では承諾料を支払う必要がないため、その点もメリットと言えます。

同時売却のデメリット

同時売却のデメリットとしては、地主と借主との間の協議が整わない点が挙げられます。

同時に一緒に売却するため、売却後の取り分なども話し合いのもとで決定する必要があります。しかし取り分を定義する明確な法律や決まりはなく、互いに主張をすることで話がまとまらない事例も多くあります。

そのため同時売却により売却額は上がる傾向にありますが、トラブルを抱えるリスクも生じます。この辺りは地主と借地人の関係性にもよるでしょう。

ただ取り分に関する話し合いは慎重に行う必要があります。

底地と借地権を同時売却する際の注意点

底地と借地権を同時売却する際に知っておくべき注意点も紹介します。

不可分一体の契約を行う

売却を行う際は、不可分一体の契約も同時に行いましょう。そもそも不可分一体の契約とは、地主と借地人が連帯債務を負うようにする契約です。

たとえば契約後に借地人だけが契約を破棄した場合、買主が取得できるのは底地のみとなり、自由にその土地を活用することはできません。

しかし不可分一体の契約を結んでいれば、借地人が破棄した場合地主との契約も破棄されるため、買主からするとリスクがない状態となります。

これにより買主は安心して不動産購入が行えますし、仮にどちらかが契約を破棄してもトラブルに発展する恐れは基本的にはありません。

地主と借地人の意見を一致させる

先ほどの話にもつながりますが、売却前に取り分を含めた意見は一致させておきましょう。

同時売却はトラブルが発生しやすい売却方法でもあります。他人同士で金銭に関わるやり取りをするわけですので、当然と言えば当然でしょう。

また取り分を決める際に「借地権割合」を活用することもあります。借地権割合とは、その土地の権利のうち借地が何割を占めるかを示す数字です。

借地権割合は国税庁の「財産評価基準 路線価図・評価倍率表」にて掲載されていますので、そちらを参考に確認してみることもおすすめします。

»参考:国税庁「財産評価基準書

底地と借地権を同時売却する流れ

ここからは底地と借地権を同時売却する流れを紹介します。

地主と借地人間で売却を決定する

まず行うべきは同時売却の決定です。

同時売却を実施するには、地主と借地人の双方の合意が必要となります。

そのため互いのメリットを明らかにした上で、合意してもらえるよう話し合いを行いましょう。

不動産会社に売買仲介を依頼する

同時売却の実施が決まれば、不動産会社に依頼することをおすすめします。

個人単位で買取相手を見つけるのは難しく、また権利関係が複雑である背景からトラブルも発生しやすい状況です。契約に関する詳しい取り決めなどは、不動産に詳しい会社に依頼することがベストです。

売却活動がスタートする

不動産業者に依頼すれば、あとは買取相手が見つかるのを待つのみです。

ただ買取相手が見つかっても、値引き交渉などで希望の金額で売却できるとは限りません。

需要が多い不動産であれば提示価格で了承してくれる買取相手を待つのみですが、需要の低い不動産の場合、減額交渉に応じる必要もあります。

ですので地主と借地人間で、どれくらいの価格までなら減額が可能なのかも、事前に決めておくことをおすすめします。

購入者と売買契約を締結する

購入者と売却価格の合意に至れば、地主と借地人、購入者の3者で集まり売買契約を締結します。

なおこの際、先ほど触れた「不可分一体の契約」も設定するようにしておきましょう。

*不可分一体の契約とは、地主と借地人が連帯債務を負うようにする契約。

後にトラブルとなる種を残さないよう、この辺りまで徹底することを推奨します。そして土地建物の所有権を購入者に移転させ、取引は終了です。

賃貸借契約終了の覚書を交わす

取引終了と同時に、地主と借地人との賃借地契約も終了となります。

その際は口頭でのやり取りではなく、賃貸借契約が終了したことを示す覚書を作成して互いに1通ずつ保管するようにしましょう。この点も、後にトラブルに発展しないための対策です。

底地と借地権の同時売却に関するよくある疑問

最後に底地と借地権の同時売却に関するよくある疑問を3つ紹介します。

同時売却以外に売却する方法はある?

同時売却以外に売却する方法は、下記の2点です。

  • 地主、借地人に売却する
  • 専門業者に売却を依頼する

同時売却の合意が取れない場合は、上記2点の方法で売却を試みてみましょう。

1つ目の「地主・借地人に売却する」とは、自身が地主の場合は借地人に底地の売却を、自身が借地人の場合は地主に借地権の売却を申し立てることを意味します。

地主も借地人も、権利関係から土地の扱いづらさは多少なりとも感じているはずです。そこで売却を持ちかければ、資金面の都合にもよりますが売買が成立するケースもあるでしょう。

ただ交渉が前提であり、買取を拒否されることは往々にしてありえます。ただ手段の1つとして、認識しておくと良いでしょう。

2つ目の「専門業者に売却を依頼する」とは、底地など一般的な不動産業者が扱いづらい物件の売買を専門に行う業者に依頼する方法です。

専門業者は複雑な問題解決も行えるため、同時売却の合意が取れなかった、借地人と地主間での売買も成立しなかった場合は依頼を考えてみることをおすすめします。

同時売却には適切なタイミングがある?

地主、借地人とそれぞれ下記のような状況であれば売却の必要性があると言えます。

地主

  • まとまった現金が必要となった
  • 底地を相続したが必要性がない
  • 地代収入が少なく税金負担に見合わない

借地人

  • 地代の負担が大きい
  • 借地権の買取を地主に断られた
  • 改築等を自由に行えず不便を感じている

それぞれ上記の状況にある際は、同時売却の合意が取りやすいと言えるでしょう。

その一方で上記の状態でない場合は同時売却の必要性を感じてもらえず、同時売却の話を持ちかけても断られる可能性が高いと言えます。

同時売却の話を提案する際は、相手のメリットを考慮した上で話を持ちかけることを推奨します。

共有名義である場合はまず何からすべき?

底地を共有名義で所有している場合、まずは共有人同士で売却を行う意思統一を行う必要があります。

共有名義不動産の売却を行うには共有者全員の同意が必要となるため、同時売却の話を持ちかける以前に共有者同士で売却するか否かを決めなければいけません。

なお、売却することに合意すれば、そこでようやく借地人に同時売却の話を持ちかけることが可能となります。

しかし共有人の1人でも売却に反対すれば、そもそも同時売却を行うことは不可能です。その際は「共有持分のみの売却」という方法で現金化することができます。

共有持分の売却については、また別の記事で解説していますのでそちらを参考にしてください。

まとめ

本来なら底地と借地権は別々のため需要は低い状態ですが、底地と借地権がセットであれば1つの不動産として所有できるため、不動産としての需要は高まります。

地主と借地人で話し合いを行う必要があるので面倒な部分はありますが、総合的に売却額を高めるためにも取り組む価値はあるでしょう。

なお、底地が共有名義である場合はそもそも共有名義人同士で売却の意思統一を行う必要があります。

この同意が得られない場合は同時売却はもちろん、底地として売却することもできません。なお共有持分のみの売却は可能なので、現金化を考えている方は持分売却の検討をおすすめします。

ちなみに持分売却にメリットデメリットがあるため、まずは概要をきちんと把握しておくことが重要です。

なお底地の売却は、一般的な不動産業者では取り扱ってくれない傾向があります。そのため底地について熟知している不動産業者に依頼することをおすすめします。

弊社も底地については熟知しており、数々の問題解決に注力しております。また権利関係が複雑なものに対しても、弊社では弁護士や税理士などと協力して取り組みを行っているため、ご依頼者に合わせた最適な対策方法のご提案が可能です。

相談自体は常に承っておりますので、所有する底地で悩んでいる部分がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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