もっと知りたい - 訳あり物件の賃貸や活用 2024.05.12

山林で農業を営むなら農地転用は必須|手続きの方法や費用についても解説

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山林の土地を農地として活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

山林であれば勝手に農地として活用しても問題ないと考える方も多いですが、登記地目と違う用途で土地を活用する場合には注意が必要です。

この記事では、山林を農地転用する必要性や手続きの方法、農地転用がかかる費用について解説します。

農地転用による地目変更が必須なケース

農地転用に限らず、登記上の地目と違う用途で土地を活用する場合は地目の変更手続きが必須であり、不動産登記法37条では以下のように定められています。

地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123

つまり、登記上の地目と異なる用途で土地を活用するならば、土地を整備してから1ヶ月以内に地目変更の手続きをしなければいけません。

「山林は山奥だからバレないだろう...」と地目の変更手続きを怠ると、「10万円以下の過料」に処される可能性があるので注意しましょう。

補足:農地転用の定義について

一般的な「農地転用」の定義は「農地を農業以外の用途で土地を利用すること」ですが、地目を「農地」に変えることを「農地転用」と捉えている方も多いため、この記事では地目を「農地」に変えることを「農地転用」として一旦解説します。

なお、「農地転用許可制度」は農林水産省では以下のように定義されており、山林から農地に転用し、地目を変更する場合には関係ありません。

農地転用許可制度では、優良農地を確保するため、農地の優良性や周辺の土地利用状況等により農地を区分し、転用を農業上の利用に支障が少ない農地に誘導するとともに、具体的な転用目的を有しない投機目的、資産保有目的での農地の取得は認めないこととしている。

https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/attach/pdf/nouchi_tenyo-29.pdf

したがって、この記事内では「農地転用=地目を山林から農地に変更する」という認識で読み進めてください。

山林を農地転用する手続きについて

山林を農地転用する際の地目の変更手続きについて解説します。

手続きの流れ

農地転用するときの地目の変更手続きは、次のように進められます。

  • 1.農地として土地を整備する
  • 2.農業委員会に土地の現況調査をしてもらう
  • 3.必要書類を提出して地目変更登記申請を行う

まずは山林の土地を誰が見ても「農地」とわかるように整備する必要があります。というのも、現況調査で農地と判断されないと地目の変更が許可されないからです。

たとえば、山林の中に建物があると農地への転用許可が下りない場合があります。

山林を農地に整備できれば、あとは手続きを行うだけです。まずは必要書類について見てみましょう。

手続きに必要な書類

山林の農地転用で必要な書類は、以下の通りです。

必要書類取得場所
現地地図自分で用意(住宅地図など)
住民票や戸籍謄本市区町村の役所(役場)
登記事項証明書法務局またはオンライン
土地地目変更登記申請書法務局またはオンライン

現地地図には、土地の場所がわかる地図が必要で住宅地図を添付するのが一般的です。また、法務局の「登記情報提供サービス」で取得することもできます。

土地地目変更登記申請書は、法務局に直接出向くかオンラインでダウンロードすることができます。

その他、法務局では様々な書類をオンラインでダウンロードおよび申請できるので以下のページを確認してみてください。

»参考:法務局「オンライン申請のご案内

必要書類の提出・申請先

地目変更をする際は、必要書類を法務局に提出します。地目変更の申請は原則として、土地所有者本人が行わなければいけません。

なお、代理人が申請する場合は申請人の住所・氏名と代理人の住所・氏名を記載し、委託者の認印が押された委任状が必要です。

また、農地転用の申請期間は、山林を農地として土地を整備してから1ヶ月以内です。期限を過ぎると、10万円以下の過料を支払わないといけない場合があるので、注意してください。

山林の農地転用でかかる費用

山林を農地転用するために、地目の変更手続きでかかる費用は次の通りです。

必要書類費用
現地地図360円
住民票や戸籍謄本住民票:300円(コンビニ交付:250円)戸籍謄本:450円
登記事項証明書600円(オンライン申請の場合500円)
土地地目変更登記申請書0円

山林の農地転用は、基本的には自分ですべて行うことが可能ですが、専門的な書類の記入や手続きの代理を依頼するのであれば追加で費用がかかります。

また、山林で農業を始めるのであれば農地として土地を整備しないといけないため、手続きの費用だけではなく整備費も必要になります。

山林の農地転用についてよくある疑問

最後に山林の農地転用について、よくある疑問を3つ紹介します。

農地転用は自分でできる?

基本的に山林の農地転用は、自分で手続きを行えます。しかし、手続きには専門的な書類や手続きが多いため不安な方は行政書士などの専門家に相談しても良いでしょう。

なお、代理で申請してもらう場合は、委任状が必要になります。

100坪の農地に転用するにはいくらかかる?

畑を例に挙げると一般的な費用相場は、1坪あたり30,000円から50,000円ほどです。したがって、100坪の農地に転用する場合は3,000,000円から5,000,000円ほどかかります。

当然ですが稲作・果樹園・畑作など、耕作物によって農地に転用する際の費用は変わります。

そのため、どの耕作物を育てた方が良いかを判断するために、地質などの事前調査を行うと良いでしょう。

農地転用で地目変更できるまでどれくらいかかる?

山林から農地に変更する場合は、1週間から2週間ほどで地目変更の手続きが完了します。他にも以下のケースは、数週間で手続きが完了します。

  • 山林→宅地
  • 宅地→雑種地
  • 雑種地→宅地

しかし、農地から農地以外に地目を変更する場合は、農業委員会や都道府県知事などから許可をもらう必要があるので、倍以上の期間がかかると考えておいた方が良いでしょう。

まとめ

地目が「山林」の土地を農業として活用するためには、地目を農地に変更する必要があるので注意しましょう。

というのも、不動産登記法37条によって、登記上の地目と違う用途で土地を活用する場合は地目の変更申請をしなければいけないと記されているからです。

もし、地目変更手続きを行っていなければ、「10万円以下の過料」に処される可能性があるので注意してください。

地目変更の手続きは自分だけで行うことができますが、手続き方法や書類作成に不安を感じる方は専門家に相談しましょう。