もっと知りたい - 相続による整理と相続税 2024.04.02

知らないとマズイ!底地を相続する際メリット・デメリット・注意点とは

親の死去などにより底地の相続が発生することがありますが、底地は地代が得られる一方で土地を自由に活用できないといった側面もあります。

では底地の相続が発生した際はどう対応すべきで、また事前にどんな注意点を把握しておくべきでしょうか。

知らないとマズイ底地の基礎知識から、実際の相続の流れを解説します。

底地を相続するメリット

まずは底地を相続するメリットを確認しましょう。メリットは主に下記の2点です。

地代収入を得られる

メリットの代表格は、地代収入を得られることでしょう。

そもそも底地とは、借地人にに貸している土地のことであり、借地人から土地代として「地代」を受け取ることが可能です。

また地代の他に、借地契約更新の際の「更新料」や、借地人が建物の改築や借地権を他人に売却する行為を行う際の「承諾料」を受け取ることもできます。

相続する場合は、既に借地人がいるケースが多いと考えられますので、借地人を探す手間がないこともメリットと言えるでしょう。

不動産の管理に手間がかからない

底地はあくまで土地のみを所有していることになるため、建物の管理などを行う必要はありません。

そのため相続後に建物のメンテナンス、修理に手間がかかる…といったことはないため管理自体は楽だと言えるでしょう。

底地を相続するデメリット

一方で底地を相続するデメリットは、下記3点になります。

相続税がかかる

底地も1つの不動産ですので、相続税は発生します。

この後にも説明しますが底地は自由に土地を活用できないことから不動産としての価値は一般的なものよりも低く、資産性は低いとも言われております。

ただ相続税自体は発生するので、支払う相続税に対して不動産としての価値が見合っていない場合もあるでしょう。

土地を自由に使えない

底地の所有者である地主は、あくまで土地のみの権利を持っており、建物に関する権利は借地権を持つ借地人が所有しています。

そのため底地を相続したからといって、その土地を活用して建物を立てたりすることは基本的にできません。

また土地を明け渡してもらうことも基本的には難しく、土地活用はできないと認識しておいたほうが良いでしょう。

借地人とトラブルになる恐れがある

底地は、土地を地主が所有して建物を借地人が所有している状態のため、権利関係が複雑です。

そのため地代支払いが滞納されている、承諾なしに改築等が行われていたといったトラブルが発生しやすい状態となっています。

具体的には、下記のようなトラブル例があります。

  • 地代の滞納に関するトラブル
  • 地代の値上げに関するトラブル
  • 更新料の支払いに関するトラブル
  • 建物の増築・改築に関するトラブル
  • 共有名義で相続したことによるトラブル

くわしくは別の記事でも解説しているため、底地相続によるトラブル例と解決方法を事前に把握しておきたい方は参考にしてください。

底地を相続する際の注意点

ここからは、底地を相続する際の注意点を紹介します。下記の2点は必ず把握して理解しておくことを推奨します。

相続時に共有名義にしない

不動産の相続時、相続人が複数いる場合は共有名義で相続するパターンも多いかと思われます。

しかし、ただでさえ権利関係が複雑な底地を、共有名義で相続すると一層権利関係がややこしくなりトラブルが発生しやすい状況となります。

たとえば借地人と協力して底地と借地権をセットに同時売却したいと考えた際も、まずは共有者同士で売却しても良いか合意を取る必要があります。

そして共有者の1人が反対すれば、売却は実施できません。土地の活用をできず、売却行為も行えずといった煩わしい状況となるでしょう。

ですので相続時は安易に共有名義にはせず、単独名義で相続することをおすすめします。

底地の不動産価値は低いことを認識しておく

繰り返しですが、底地は土地を地主が所有して、建物を借地人が所有している状態のため、権利関係が複雑です。

この背景から底地は不動産としての価値は一般的な不動産より低く、底地の売却額も相場に比べると低いことが想定されます。そもそも買い手が見つからないといったケースも往往にしてあるでしょう。

そのため底地の活用用途は限られていること、不動産としての価値は一般的なものより低い事実を認識しておくべきです。

底地の相続税評価額の計算方法

ここからは底地の相続税を算出する際に必要な、相続税評価額の計算方法を紹介します。

相続税評価額の計算式

まず相続税評価額は、下記の計算式で算出できます。

  • 底地評価額=自用地の評価額 ×底地割合

「自用地の評価額」と「底地割合」について、それぞれ詳細を説明します。

自用地評価額について

そもそも自用地とは、自身のみが所有し他人が使用できない土地のことです。

そして自用地評価額は下記の計算式で算出できます。

  • 自用地評価額=路線価×地積(面積)

路線価については国税庁HPで地域別で公開されているため、その情報をもとに算出することが一般的です。

»参考:国税庁「財産評価基準書

底地割合について

底地割合とは、完全所有権の土地の価値を100%としたときに、底地の評価額の割合がいくらかであるかを示した数値となります。

こちらも国税庁のHPで確認することが可能です。

なお国税庁のHPでは「借地権割合」が掲載されているため、底地割合を求める際は「100%-借地権割合」の計算で求めるようにしましょう。

以上をまとめることで、下記の相続税評価額が求まります。

  • 底地評価額=自用地の評価額 ×底地割合

底地相続の流れについて

では最後に、実際の底地相続の流れも確認しておきましょう。

相続人の確定

まずは相続人を確定させる作業を行う必要があります。

相続人を調査するには、被相続人(亡くなった人)の生まれてから死ぬまでの全ての戸籍謄本を集めます。

そこで例えば隠し子の存在が発覚するケースもあるため、戸籍謄本を元に相続人の確定を実施します。なお相続人に当たる方が既に亡くなっている場合は代襲相続人を確定する必要があります。後にトラブルにならないよう、慎重に行いましょう。

遺産配分の決定

相続人が確定したら、遺産配分についても決定しましょう。

その際は財産目録を作成して、財産の一覧を整理しやすい状態にすることをおすすめします。

相続登記の実施

相続内容が決定したら、底地に関する相続登記を行います。

なお、この際共有名義で登記すれば後に不動産の管理をめぐって言い争いになる恐れもありますので、単独名義として登記することをおすすめします。

なお不動産の売却をできるのは名義人のみですので、登記の実施を忘れていると売却を行う際に実施できないことになるため忘れずに登記申請を行いましょう。

相続税の申告・納付

最後に相続税の申告です。

なお底地を相続して、引き続き賃貸を行う場合は「小規模宅地等の特例」を適用することができます。

小規模宅地等の特例では、底地の面積のうち200㎡までの部分の評価額を50%減額することができるため、相続税を減らすことにつながります。

詳しくは別の記事でも解説しているため、小規模宅地の特例について初耳である、詳細は知らないという方は、こちらも参考にしてください。

まとめ

底地を相続するメリットとデメリットを再度まとめます。

メリット

  • 地代収入を得られる
  • 不動産の管理に手間がかからない

デメリット

  • 相続税がかかる
  • 土地を自由に使えない
  • 借地人とトラブルになる恐れがある

底地は土地を自由に活用できない背景から、不動産としての価値は一般的に低いと言われております。

そのため相続後に必要でないと感じた場合は、底地の売却なども視野に入れても良いでしょう。

またトラブルに発展してしまった場合は、弁護士や税理士など専門家に相談することをおすすめします。