
はじめて - 難処分物件とは? 2024.10.23
底地とは?借地との違いをわかりやすく解説!所有するメリット・デメリットも紹介
土地の種類の一つに「底地」があります。底地は更地や自用地と比べると制約が多いため、売却が難しく相場よりも価格が下がる傾向があります。
一方で底地は借地と呼ばれることもありますが、底地と借地の違いを把握していない方も多いでしょう。
この記事では底地と借地の意味や違い、底地を所有するメリットとデメリットについて解説します。
底地とは?借地権との違いを解説
最初に「底地」と「借地」の定義について確認しましょう。
底地の定義
底地とは借地権が設定されている土地を指し、貸地(かしち)と呼ばれることもあります。
底地を所有している人のことを地主、底地を借りている人のことを借地人と言います。
底地を所有して地主になると、その土地を貸すことで賃料を受け取ったり、契約更新時に一定のお金を受け取る権利を得ることが可能です。
そして借地人が他の人に借地権を売る際には、地主の承諾が必要になり承諾料として借地人に請求できます。
他の人に貸すことで利益を得ている、あるいは利益を得られる土地が底地です。
借地の定義
借地とは、他人から借りている土地のことを指し、借地人は「借地権」を有しており、その土地上で建築などを行う権限を持っています。
この「底地」と「借地」は同じ土地のことを指しますが、地主と借地人によって名称が異なるだけです。
土地を所有して貸し出している地主からは「底地」として、その土地を借りて利用する側からは「借地」となります。
底地と借地の違い
底地とは土地所有者(地主)によって貸し出しされる土地で、借地権が設定されています。一方で借地は、借地人が土地を利用するための権利(借地権)がある土地を指します。
底地と借地は立場によって呼び方が変わりますが、同じ土地を指すことを覚えておきましょう。
また、不動産にかかる税金、具体的には固定資産税や都市計画税は、地主と借地人がそれぞれで支払います。
ただし、借地権が設定された土地は通常の土地よりも固定資産税評価額が低くなるので、税金の負担が通常より少ないです。
しかしながら、借地権を解除すると、固定資産税と都市計画税が高くなってしまうので注意が必要です。
底地を所有するメリット
底地を所有するメリットは、主に以下2点となります。
地代収入を得られる
底地を所有するメリットは、地代収入を得られることにあります。地代とは、借地人に土地を貸し出す対価です。
底地は地主自身が土地を自由に利用できる不動産ではなく、あくまで不動産収入を得るための土地です。多くの地主は長期的に保有していることが一般的で、今後得られる不動産収入を計算しておくことは重要です。
なお地代の値上げはあっても値下げするケースは少ないため、不動産収入の計算に大きな誤差が生じることはないでしょう。
管理の手間がかからない
底地は、あくまで土地自体を所有している状態に過ぎません。そのため建物を維持するためにかかる費用を負担する必要はありません。
また賃貸経営などでは空室リスクを考える必要もありますが、底地は借地人が存在する限り一定の地代収入が得られる仕様です。
管理の手間がほとんどかからないという点は、初めて不動産を活用して収入を得る方にとってはメリットと言えるでしょう。
底地を所有するデメリット
底地を所有するデメリットは、主に以下3点となります。
利益がほとんど出ない恐れがある
底地から得られる利益は、契約時に設定する借地人から得られる地代のみです。
地代は地主が自由に設定できるようになっていますが、固定資産税・都市計画税その他経費相当額の3倍〜4倍が相場となっています。
また、地代は容易に途中で変えることも難しく、借地借家法に規定されている賃料改定事由の取り決めに当てはまっていなければいけません。
地代を増額する際は、地代増額請求を借地人に対して提起する必要があります。
このように地主が自由に地代を設定でき、変更も可能ですが容易に増額できない点も利益が少なくなってしまう要因となっています。
借地人とトラブルになる恐れがある
当然ですが、地主と借地人の全員が良好な関係を構築しているわけではなく、時にはトラブルに発展するケースもあります。
- 地代の滞納
- 建築物収去(解体)費用
主にトラブルとなるのは、上記の2つです。地代の滞納については、借地人との間の契約を解除できたとしても、退去してもらうまでには手間と長い時間がかかります。
もし、借地人を退去させる場合は建築物収去(解体)費用を地主が負担しなければいけない可能性があります。
というのも、地代を滞納をする借地人は解体や撤去にかかる十分な資金を持っていない可能性が高いからです。
トラブルになった際は、底地を所有している地主が不利になる場合が多いです。
土地を自由に活用・売却はできない
借地人は地代を払い、建物を建設する目的で底地を利用する権利を得られます。
そのため、土地を所有しているとは言うものの、底地を自由に活用することができません。
したがって、底地はその他の更地や自用地とは異なり売却したくても容易に売却できない場合が多いです。
また、売却できたとしても実際の売却額は更地の相場の10%〜15%程度にしかならないケースもあります。
底地を売買する際の注意点
底地を売買する際の注意点を3つ紹介します。
売却相手によって価格は変わる
底地の売却相手は、借地人か第三者となります。
ただ底地は権利関係の複雑さから需要は低く、第三者に売却する場合の相場は更地価格の10%程度となるケースもあります。
しかし、借地人に売却する場合は異なります。というのも借地人が底地の権利を取得すれば、その土地の完全な所有者となるためです。
そのため借地人には一定の需要があり、第三者に売却するより高額で売買が行えるでしょう。
共有名義の場合は共有人の同意が必要
底地を共有名義で所有している場合は、そもそも共有人全員の同意がないと売却できません。
不動産の売却は管理行為に該当し、共有不動産において管理行為を実行するには、共有者全員の同意が必要であるためです。
そのため1人でも売却に反対すれば、その時点で売却は行えません。共有関係の解消をしたく売却を考えているなら、共有持分の売却を検討しても良いでしょう。
抵当権が設定されている場合は抹消する
抵当権が設定されている場合は、不動産の売却は行えないと思った方が良いでしょう。
というのも、抵当権が残っている不動産を購入するには競売にかけられるかもしれないといったリスクがあり、買い手が付かないことが一般的なためです。
また抵当権抹消に関する手続きには、ローン完済後に受け取れる書類が必要です。そして書類を紛失した場合は再発行など複雑な手続きが必要となり、時間を要す恐れがあります。
そのため抵当権については、早めに抹消に関する手続きを行いましょう。放置しておくと、いざ売却を考えた際に面倒な手続きが重なる可能性があります。
底地に関するよくある疑問
最後に底地に関するよくある疑問を3つ紹介します。
複雑な権利関係を解消する方法は?
底地に関する権利関係を解消する方法は、主に下記があります。
- 借地人に売却する
- 第三者に売却する
- 底地と借地権を同時売却する
借地人と第三者に売却する方法は、先述の通りです。第三者より借地人のほうが需要は高いため、高額で売却できる傾向があります。
なお「底地と借地権を同時売却する方法」についてですが、名前の通りで底地を所有する地主と、借地権を所有する借地人で協力して、不動産全体を売却する方法となります。
メリットとしては、不動産全体の売却となるため、相場通りの価格で売買が可能になる点です。
しかし、当然ではありますが借地人にも売却の意思がある場合にしか成立しない話になります。そのためまずは売却の意思を伝え、その上で一緒に売却する意思はあるか、それとも底地を買い取る意思があるか確認することをおすすめします。
底地に関する売却額の目安はどれくらい?
底地に関する売却額は、借地権が「普通借地権」か「定期借地権」であるかによって異なります。
普通借地権の場合は、更地価格の10%程度、定期借地権の場合は、更地価格の70%〜90%程度です。ただ、あくまで一つの目安として捉えてください。
なお普通借地権とは、地主側の正当事由がない限り契約解除が困難となっており、借地人の権利が強く守られています。
一方で定期借地権とは、契約期間があらかじめ決まっており、契約期間満了時に土地の使用権利が地主に返還される仕組みです。そのため残りの契約期間が短いほど、更地価格に近い値段で売買が行われると認識して問題ありません。
底地は相続すべき?相続しないほうがいい?
底地を所有するメリットは一定あるため、相続をすること自体は問題ないと捉えて良いでしょう。ここで一度、底地を所有するメリットとデメリットを再度確認しておきましょう。
底地を所有するメリット
- 地代収入を得られる
- 管理の手間がかからない
底地を所有するデメリット
- 利益がほとんど出ない恐れがある
- 借地人とトラブルになる恐れがある
- 土地を自由に活用・売却はできない
もちろんデメリットも一定ありますが、地代収入の条件が良ければ不動産資産として活用できるでしょう。
しかし相続の際、共有名義で相続するのは避けましょう。共有名義で底地を所有すれば、底地の管理などを行う際に共有者と協議を行う必要があり、トラブルが発生するリスクがあるためです。
まとめ
底地は管理コストが低く、継続した地代を得られることがメリットです。一方で借地人とのトラブルや、建築物収去(解体)費用を地主が負担しないといけない場合があるというデメリットがあります。
底地の所有は借地人の権利が強いため、地主が抱えるデメリットは目立ってしまいます。底地を所有しており、多くのデメリットを感じる場合は売却も視野に入れましょう。
底地の売買は自力で行うのは法的な問題等で難しいので、不動産の専門家に相談するのがおすすめです。
なお底地の売却は、一般的な不動産業者では取り扱ってくれない傾向があります。そのため底地について熟知している不動産業者に依頼することをおすすめします。
弊社も底地については熟知しており、数々の問題解決に注力しております。また権利関係が複雑なものに対しても、弊社では弁護士や税理士などと協力して取り組みを行っているため、ご依頼者に合わせた最適な対策方法のご提案が可能です。
相談自体は常に承っておりますので、所有する底地で悩んでいる部分がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
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