はじめて - 訳あり物件の手続き・考え方 2024.10.23
再建築不可物件におけるセットバックとは?メリットデメリットを紹介!
再建築不可物件は接道義務を果たしていないことにより、建て替えなど再建築ができない状態となっております。
しかしセットバックを行うことで建物が接する道路幅を拡大し、接道義務の条件を満たすことが可能になります。
再建築が可能となれば建物の活用範囲も広がりますし、売却の際にもより価値が付くようになるでしょう。
この記事ではセットバックの基本的な情報から、実際の流れや注意点を紹介します。
セットバックとは
セットバックとは、所有する敷地を後退させて敷地前面にある道路幅を広げる方法です。
そもそも建築基準法第43条では、道路幅4m以上の道路に、2m以上接している必要がある旨が記載されています。そしてその条件を満たしていない物件が、再建築不可物件です。
つまりセットバックを実施することで、再建築できる可能性があります。
ただし前提として、物件が面している道路が2項道路の場合もしくは建築基準法上の道路に限ります。またセットバックを行ったからといって必ずしも再建築が可能になるわけではありません。周辺の状況や条件に依存する傾向がありますので、まずは不動産会社などプロに相談することが最適です。
セットバックを行う意味について
セットバックを行う意味は、主に下記2点です。
再建築を可能にする
先ほどもお伝えしましたが、セットバックを行うことで再建築が可能となる場合があります。
たとえば敷地前面の道路幅が3.5mである場合、建築基準法を満たしていないため建て替えを含む再建築は実施できません。
しかし0.5m分だけセットバックを行えば、敷地前面の道路幅は4mになります。仮に道路に対し2m以上接している条件も満たしていれば、再建築が可能になります。
なお、セットバックした敷地は「道路」として扱われるので、その場所にフェンスなど私的なものを設置することができません。
道路斜線制限を緩和する
そもそも道路斜線制限とは、敷地の周囲にある道路から発生する架空の斜めの線による制限のことです。建物を建てるときは、高さがこの斜線を超えないように設計する必要があります。
この制限は、隣接する道路および建物の採光や通風を確保することを目的に設定されています。
なおセットバックを行うことで道路斜線制限が緩和されるので、つまり現在よりも高い建物へと増築等することが可能となるのです。
セットバックの費用は誰が負担する?
セットバックの費用は、基本的にはご自身が負担することとなります。なおセットバックにかかる費用は、主に下記です。
- 土地測量費
- 分筆登記費用
- 道路整備費用
セットバックを行う面積にもよりますが、上記3つを合わせて約20万円〜80万円の費用がかかります。
なお自治体によってはセットバックにかかる費用を負担する、もしくは補助金を支給してもらえる場合もあります。そのため、自身の地域では自治体がどのような補助制度を設けているか必ず確認しておきましょう。
再建築不可物件でセットバックを行うメリット
ここからは再建築不可物件でセットバックを行うメリットを紹介します。
再建築が可能となる
1番のメリットは、やはり再建築が可能になることでしょう。
建築基準法で定められている、道路幅4m以上の道路に、2m以上接している必要がある接道義務を果たせば、建て替えや大規模なリフォームが可能となります。
また再建築が可能となれば不動産としての価値も上がります。そのため再建築不可物件の状態より、高値で売却できるでしょう。
このようにセットバックを実施することで、物件を自由に扱えるようになることはもちろん、資産の価値を高めることが可能となるのです。
後退した土地は非課税となる
土地および建物を所有していると、固定資産税や都市計画税といった税金を支払う必要があります。
これらの税金は所有する土地の面積によって変動しますので、セットバックにより土地を後退させれば、後退させた部分については非課税となります。つまり、支払う税金の額が下がるのです。
なおセットバックした土地は公道となるため、私物などを置くことはできません。この点はデメリットですが、後退した分の土地は非課税となることは把握しておきましょう。
また非課税措置を受けるには、役所に非課税申告を行う必要があります。土地の登記簿謄本やセットバックした場所が分かる地積測量図を用意して、役所に申告することを忘れずに行いましょう。
再建築不可物件でセットバックを行うデメリット
ここからは再建築不可物件でセットバックを行うデメリットを紹介します。
費用がかかる
冒頭でも触れましたが、セットバックを実施するには当然費用が発生します。そしてその費用を基本的には自身で負担する必要があります。
実施内容にもよりますが約20万〜80万ほどかかるため、誰でもすぐに実施できるものではないでしょう。
また完了までに約3ヶ月ほどはかかるので、期間についても考慮する必要があります。早めに再建築可能な状態にする必要があるなら、セットバックの実施について早急に把握しておくべきです。
土地が狭くなる
セットバックは所有する土地を後退させる工事のため、土地は狭くなります。
そのため使用できる土地の面積は減りますし、場合によっては不便な仕様となってしまう恐れがあります。セットバックにより、どれくらい後退するのか、それによって生じる悪影響を整理した上で実施するようにしましょう。
セットバックの流れ
最後にセットバックを実施する際の流れを紹介します。
現地調査
まずは該当物件の接道幅について、公図を基に確認します。
公図とは土地の形状や道路について記された図面であり、役所で入手可能です。この公図を用いて接道義務を果たしているか確認して、果たしていない場合は再建築を可能にすることに向けてセットバックの必要性が出てきます。
事前協議書の提出
セットバックの必要性が判明したら「事前協議書」を役所に提出します。
事前協議書は役所に現地調査を依頼するための書類であり、役所のホームページなどでフォーマット等をダウンロードすることが可能です。
測量・事前協議の実施
事前協議書が受理されれば、自治体により実際の土地の測量や事前協議が行われます。
セットバックでは「現況測量」「境界確定測量」の2種類の測量を行います。それぞれの測量の役割は、工事対象となる土地の形・面積などを算出したり、境界線を明確にすることです。
なお事前協議では、セットバック後の道路の管理や整備などについて、誰が行うか、誰が所有するかを定めます。
建築確認申請・工事開始
事前協議が終われば、指定確認検査機関に対して建築確認申請を行い、許可が出たら工事を開始します。
なお指定確認検査機関に申請する際は建築確認申請書と事前協議の内容をまとめた書類が必要です。申請が通らなければ工事は実施できませんので、適切に処理を進める必要があります。
申請が通れば、あとは工事を行い、セットバックは完了となります。
まとめ
セットバックを実施するメリットとデメリットを再度まとめます。
メリット
- 再建築が可能となる
- 後退した土地は非課税となる
デメリット
- 費用がかかる
- 土地が狭くなる
費用がかかったり、土地が狭くなるといったデメリットはありますが、再建築が可能な不動産に生まれ変わる可能性があり、不動産価値が上がることが期待できます。
そのためセットバックを行うことが可能であれば、実施したほうが良いでしょう。
ただし条件次第ではセットバックを行っても再建築不可物件のままである恐れもあるため、まずは不動産会社などプロに相談することが最適です。
なお弊社でも再建築が可能かどうか調査できますので、調査をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
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